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ドル/円、15年ぶり円高水準を更新:識者はこうみる

 [東京 7日 ロイター] 7日の外為市場で、ドルは一時82.24円まで下値を伸ばした。前日のガイトナー米財務長官の講演内容が短期筋のドル売り材料となっている。市場関係者のコメントは以下の通り。

 10月7日、外為市場でドルは一時82.24円まで下値を伸ばした。写真は6日、都内の外為ディーリングルームで(2010年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

●ドル安止める材料は「行き過ぎ感」「過熱感」のみ、82円も視野 

 <三菱UFJモルガン・スタンレー証券 クレジット市場部 為替課長 塩入 稔氏>

 ガイトナー米財務長官の講演内容(6日)を見ても、ドル安方向の話しかしていない。米国は、今後ともドル安を促したいとの明らかな意図がうかがわれる。ユーロ圏については、ドル安の受け皿としてのユーロ高を容認しているわけではないが、現状では矛先が中国に向いているようだ。結論として、週末の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、黒字国かつ為替相場を明らかに割安に放置している国に対する警告が、当事国不在で発せられると予想する。

 ガイトナー長官は講演後の質疑応答で、日本の為替介入が通貨安競争を助長したとの見方を否定したと伝わっている。  

 現状のドル全面安の流れにおいて、ドル安の「行き過ぎ感」や「過熱感」というものが確かにある。ただ、逆に、ドル安を止めるインセンティブとして、こうした「行き過ぎ感」「過熱感」しかなく、米金融政策の方向性を含め、明確なドル買い材料が存在しない。短期的には82円ちょうどが視野に入るとみている。

●G7の最中でも、円高加速なら介入実施

 <大和総研チーフ為替ストラテジスト、亀岡裕次氏>

 ドル/円は9月15日の介入前につけた安値を割り込んでおり、為替介入はいつ入ってもおかしくない。ただ、日本の株価が下げ渋っていることで当局は介入に向けてやや余裕を持てることに加え、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)目前のため、多少は介入へのハードルを高くする可能性がある。

 ヤマ場は米東部時間の8日朝に発表される米雇用統計だろう。8日はG7も開かれるが、雇用統計が悪くてドル安/円高が加速した場合、日本政府はG7の最中に介入を迫られることになりかねない。ただ、円高が加速すれば、G7開催中であろうと介入するだろう。

 G7で日本の介入が議論された場合は、日本の介入は円高加速を和らげるスムージングオペであって、円安誘導ではないと主張することになるだろう。中国の介入は人民元の水準管理であり、日本の介入を同列に位置付けることは間違いだ。

 ただ、ドル安を受けてユーロ/ドルが急上昇していることもあり、欧州各国は米国以上に介入に対する反対論が強いかもしれない。日本の介入はドル/円であり、ユーロ/円ではしていないと説得するのではないか。

 米国が通貨安競争への懸念を表明したが、円高やユーロ高は米国の追加緩和観測によるドル安の裏返しだ。金融緩和を利用したドル安政策とも言え、為替相場を市場に委ねる必要があるというのも、米国の利益のためのポジショントークの側面もありそうだ。

●為替に国際協調余地ない、ドル79.75円割れれば60円も

 <草野グローバルフロンティア代表取締役 草野豊己氏>

 これまでの金融・経済危機で、各国とも財政政策を限界まで打ち出し、中銀は金利を引き下げバランスシートを拡大した。しかし、失業率は下がらず景気は回復しない。今回の危機はこれまでの経済危機と違う。この認識が各国当局に広がってきている。

 すでに財政余地は乏しく、金融政策で対応するしかない。金融政策といっても民間がデレバレッジを急ぐなかでは実物経済へのテコ入れ効果は乏しく、自国通貨安につながるだけだ。日米欧の内需が低迷する中では、新興国の成長を輸出拡大によって取りに行くしかなく、そのためにも自国通貨安が望ましい。どこも社会保障の切り捨てや増税で国民負担を強いて政治的な余裕をなくしているなかで、為替に関する国際協調や調整の余地はない。

 ソブリン問題でユーロを売り、金融緩和観測でドルを売るためには何かを買わなければならない。流動性を考えれば円しかない。これが今の円高だ。ドル/円の次の節目は95年につけた79.75円。ここを超えると、次は60円が意識されそうだ。

 円高の流れは当面変わらない。日本は円高に対する発想を変えるしかない。外準を利用して海外資産を買うなど、世界の事業や技術を買い入れるアイデアをこらすべきだ。

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