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日銀短観、7四半期ぶり悪化:識者はこうみる

 [東京 15日 ロイター] 日銀が15日発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIは、7四半期ぶりに前回比で悪化した。また、大企業非製造業の業況判断DIも7四半期ぶりの悪化となった。市場関係者のコメントは以下の通り。

 12月15日、日銀短観によると、大企業製造業の業況判断DIは、7四半期ぶりに前回比で悪化した。都内で8日撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 ●意外感なし、改善には時間が必要

 <コスモ証券 投資情報部担当課長 田口 はるみ氏>

 12月日銀短観は全体的に予想にほぼ近い内容となり、意外感はない。自動車など輸出関連の減少が目立ち、外需の弱さがうかがえる内容だ。雇用や設備投資についても前回から大きく変化しておらず、為替も下期の修正が進んできたとはいえ、依然として円高水準にある。先行きについても慎重な見方が大勢で、改善にはしばらく時間がかかるだろう。大企業製造業・業況判断DIは7四半期ぶりに悪化したが、市場予想を若干上回っており、市場に与える影響は限定的とみている。

 ●先行きに対する警戒感は強い

 <みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

 12月日銀短観について、大企業製造業・業況判断DIは予想対比では良かったが、前回よりは悪化した。「思ったほど悪くならなかったけれども、引き続き先行きに対する警戒感は強い」という全体像が浮かび上がった。エコポイントなど政策効果のはく落を警戒する動きのようだ。 

 設備投資に関しても、頭打ち感が出ており、先行きに対する警戒感からきているようだ。積極的に設備投資をする環境にないという判断が強い。もっとも、円債相場はある程度織り込んでおり、影響は限られる。

 ●企業心理慎重、一段の政策必要となる可能性も

 <新生証券・債券調査部シニアアナリスト 松本康宏氏>

 日銀短観で、大企業製造業の業況判断指数(DI)は7期ぶりに悪化した。エコカー減税駆け込み需要の反動減や、家電のエコポイント縮小などで、政府の景気対策効果が薄れてきたことが影響しているのだろう。先行きの弱さをみても、企業経営者は今後、「景気の谷深し」として身構えてくるのではないか。2011年度の税制改正で法人課税の引き下げが決まったが、企業活動の活性化に向けて、より積極的な政策が必要になる可能性も否定できない。

 一方で、海外景気に持ち直しの動きがみられている。国内景気は内需でマイナスだが、外需支えられる形が続くのではないか。クレジット市場への影響は限定的だろう。

 ●目先は足踏み感、更なる円高なければ上振れも

   <バークレイズ・キャピタル証券 チーフエコノミスト 森田京平氏>

 足元は想定よりも悪くはないが、先行きへの慎重感は残っている。12月までの業況判断は大企業も中堅・中小も事前想定よりも悪くはないが、先行きについては12月よりも悪化見通しとなった。

 下期の想定為替レートは前回9月調査から6円弱円高に振れている。相当円高を織り込んだ上で、企業はある種の最悪シナリオを想定しているかのような先行きの数字となっており、逆に言うと、更なる円高がない限り、今回示された日銀短観よりも悪い数字が今後出てくることはないとの解釈ができる。

 金融政策に対しては中立の結果となり、追加緩和を要求する内容でもない。一方で出口を探るような状況でもない。

 企業マインド悪化の時間帯は、来年1─3月で終わると想定できる。あと3カ月程度、景気全体の足踏み感があっても、その後に待ちうけているのは景気の再加速とみている。あくまでもある種の息継ぎ期間であり、景気の後退にはならない。

 ●踊り場脱却にらみ、日本株の出遅れ解消を後押し

 <マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏 >

 実際には企業が警戒していたほど景況感は悪化していない。生産調整を余儀なくされた自動車などは悪化したが、鉄鋼、金属製品そして機械などの設備投資関連業種の景況感改善により、全体の悪化は限定的となった。

 先行きDIは悪化が見込まれている。円高や海外経済への警戒は根強く、製造業は依然慎重である一方、大企業非製造業の先行きDIはほぼ横ばいで、エコポイント縮小後の年末以降の消費悪化への懸念は小さい。

 2010年度の設備投資計画は、大企業が上方修正された。

 足元の「景気踊り場」の深度が小さいことを確認する内容となり、「踊り場脱却」をにらみ、日本株の出遅れ解消の動きを後押しする結果といえる。

 ●コンセンサス通り、株価への影響は小さい

 <東京海上アセットマネジメント投信 シニアファンドマネージャー 久保健一氏>

 政策効果の反動減というコンセンサスにそった内容だ。ただ、設備投資計画をみると、(中小企業・全産業が前回から上方修正するなど)全般的には緩やかながら回復の兆しを示すものもある。東京市場は足元で株価が底堅い値動きで、悪化を示した日銀短観の影響は限定的だ。

 2011年に向けての日本の株式市場は、為替の影響による変動はあるものの、基調としては上昇トレンドで推移すると予想する。構造面では、先進国の成長率は潜在成長率程度の水準にとどまる可能性があるものの、循環面では年前半を底にグローバル景気は踊り場局面を脱却し回復基調に回帰すると想定している。したがって、株式市場の上昇率は小幅にとどまる可能性はあるものの、方向性としては上昇基調と予想している。

 ●良くも悪くもない、クレジットにインパクトある材料にならず

 <トヨタアセットマネジメント 投資戦略部 チーフストラテジスト 濱崎優氏>

 日銀短観12月調査はこのところの国内景気減速を映した結果と言えるが、プラス、マイナスの幅が小さく、良くも悪くもないという印象だ。設備投資計画(全産業)については前年度比プラス2.9%と、多少良くなっているものの、前回とそれほど変わっていない。景気は大きく上振れていない。

 先行きに関しても悪くはなっていないが、慎重な見方もある。業況そのものに方向感がなく、しばらくはこうした状態が続くのではないか。米国経済の動向、とくに日本の場合は中国の金融政策に左右されるなどリスク要因を抱えているため、今と比べて慎重に見ているが、それほど悪くなるとも見ていない。

 クレジットマーケットにはインパクトのある材料にならなかった。

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