[北京 15日 ロイター] 中国国家統計局が15日発表した1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.9%となり、12月の同4.6%から加速した。ロイターがまとめたエコノミスト予想の5.3%は下回った。市場関係者のコメントは以下の通り。
●物価の上振れリスク残る、3月に利上げも
<フォーキャスト(シンガポール)のエコノミスト、CONNIE TSE氏>
市場はCPIが予想を下回ったと歓迎するかもしれないが、慎重に考える必要がある。最近の情勢や指標からみると、物価の上振れリスクが残る。
今後、小麦の主要産地の日照りが食品の押し上げ要因となるだろう。3月中に追加利上げがあってもおかしくない。
●予想下回る、引き締めバイアスは継続か
<OCBC銀行(シンガポール)のエコノミスト、DONGMING XIE氏>
1月のインフレ率は予想を大きく下回った。
ただ、今後数カ月の見通しについては、あまり楽観していない。中国の引き締めバイアスは継続される可能性がある。
●市場にとり明らかにプラス、追加引き締めの可能性低下
<招商銀行 (深川)のエコノミスト、XU BIAO氏>
予想を下回るCPIは市場にとり明らかにプラスだ。追加の利上げや預金準備率引き上げの可能性は低下した。
ただもちろん、今後も人民銀行がどのように状況を把握するかに左右される。
●CPI項目ウエートの変更、通年のインフレには影響薄
<HWABAO TRUST(上海)のアナリスト、NIE WEN氏>
CPIの構成項目のウエート再調整は妥当だと思う。食品項目のウエートが引き下げられ、住居関連費、医療サービスなどのウエートが引き上げられたが、その方が物価上昇の全体像を映し出している。
基本的に、ウエートの調整が通年のインフレの数字に大きな影響を及ぼすとは思わない。ウエートの変更により通年のインフレ率は0.1─0.2%ポイント程度引き下げられるだろう。
人民銀行は年内、あと1度か2度利上げを行うと引き続き予想している。
●明確な状況把握には2月CPIを待つべき
<安信証券(北京)のチーフエコノミスト、GAO SHANWEN氏>
CPI算出のウエート変更がほとんど影響していないならば、1月のCPI統計の理解はとても難しい。インフレの状況をより明確に把握するには2月のCPIの発表を待つべきかもしれない。
2月のインフレ率は5.2%程度と予想される。これを大幅に下回った場合、われわれは中国のインフレ状況が根本から変わったと結論付ける可能性がある。あるいは、CPI統計自体が信頼性という点で、きわめて疑わしいといえるだろう。