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ドル急落で予想レンジ下方修正の動き、89─90円の声も

 [東京 9日 ロイター] ドル/円が8日の海外市場で91.80円まで急落したことで市場関係者の間では、予想レンジを下方修正する動きが出てきた。一部には89─90円付近までの下値余地を見込み声が聞かれる。

 7月9日、ドル/円が8日の海外市場で91.80円まで急落したことで市場関係者の間では、予想レンジを下方修正する動きが出てきた。写真はブダペストの為替ボード。1月撮影(2009年 ロイター/Karoly Arvai)

 背景にあるのは米国を中心とする世界景気の回復を期待した過度なリスク選好ポジションの巻き戻しで、今後、本格化する米企業の決算発表などから景気の現状を見極めたい、としている。当局による為替市場への介入については、年初に付けた87円台を抜ける動きがみえてくると、市場の緊張感も高まる、との見方があった。

 以下が為替市場関係者のコメント(順不同)。

 <三井住友銀行 市場営業部副部長 直物為替グループ長 高木晴久氏>

 ドルがテクニカルなポイントだった93円半ばを下抜けて、クロス円での円買いが強まる最近の流れが勢いづいた。米債が大きく買われたことも影響したようだ。中期投資前提のプレーヤーも円買いに動いた。積もったポジションがいったん掃けた形で、テクニカル的には一服感の出やすい水準まで下げた。下値めどは90円付近だと見ている。きょうは戻り売り圧力が強いのか、この水準なら下値で買いが強まるのかを見極めたい。

 ただ、翌週に米企業の決算発表の本格化、中国の国内総生産(GDP)などが控えており、上値を買い上がっていける印象も乏しい。決算が下振れたり、中国経済指標が大きな悪化を示せば、株価の崩れも含めて市場に一段のインパクトを及ぼす可能性もある。

 <三菱UFJ証券為替課 部長代理 塩入稔氏>

 前日に米国債10年物の利回りが急低下したことで、けさの東京市場で長期のオプション筋からドル売りが出る可能性がある。他方、前日のドル/円の急落で、ドルを売らなければならない人は既に売っていると思うので、東京市場では92円台前半が下値のメドとなるだろう。

 市場の一部では介入警戒感も出てきたが、個人的には90円割れの水準になるまで、当局のドル買い介入は現実味を帯びないだろう。より正確には、今年の安値87円前半を試すような局面になってはじめて介入が現実味を帯びると考える。

 米アルコアAA.Nの決算の赤字が市場予想より小幅だったことが伝えられているが、赤字であることには変わりない。さらに、現在はグリーンシュート(若芽)論に代表されるような世界経済に対する楽観的見方が後退している時期であり、予想を下回る赤字がドル買いを誘発する地合いではない。

 来週の米銀決算では、貸し倒れ引当金積み増しがあるのかなどの見極めが重要だ。

 <JPモルガン・チェース銀行 シニアFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>

 ドル/円は短期的には下方向へのモメンタムが強い。だが、中長期的には米財政、金融政策の効果が表れ、リカバリートレードが継続すると見ており、円の独歩高が長期にわたって継続するとは思わない。前日、ドルは円の次に強い通貨だった。

 きょう予定されている米新規失業保険申請件数は、ドル/円の短期的な動向を左右するものとなるだろう。景気回復のシナリオに乗れば、失業保険申請件数は減少し続けるはずで、市場のコンセンサスも前週から申請件数の減少を見込んでいる。しかし、前週の非農業部門雇用者数の弱い結果以降、米経済の回復シナリオに対する疑念が高まるなか、予想に反して申請件数が前週比で増加するようなら、こうした疑念をさらに強める結果となり、米株下落、米長期金利低下、円上昇の流れに拍車をかける可能性が高いとみている。

 <ロイヤルバンク・オブ・スコットランド ヘッドオブFXストラテジー 山本雅文氏>

 4―6月のリスク・ラリーの期間に株、商品、クロス円の良い材料は織り込まれ、現在は悪い材料に過敏に反応しやすい状況だ。前日、対円で大幅に値を崩した英ポンドは、対ドルではあまり下げておらず、今後は対円でのポンドの弱さが、対ドルにも波及していくのではないかとみている。

 きょう予定されるイングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会では、金利据え置きがコンセンサスだが、資産買い入れ規模を250億ポンド拡大し、上限を1500億ポンドとすることも見込まれている。前日の市場では250億ポンド以上の拡大の憶測も流れたが、いずれにせよ、量的緩和の拡大はポンド安材料とみなされるだろう。

 <大和総研シニアエコノミスト(為替ストラテジスト) 亀岡裕次氏>

 ドル/円が91円台まで急落した背景は、過度なリスク選好の巻き戻し。為替や株式など幅広い市場で、景気回復のペースについて思ったより緩やかだとの見直しが入りポジション調整が進んだ。

 景気が改善基調にあるとのシナリオに変化はないが、6月の米雇用統計などこのところ出てきた指標が予想より弱かったことで米連邦公開市場委員会(FOMC)は当面利上げしにくいとの予想が強まった。米金利が低下したこともドル/円の調整につながった。

 ドル/円のレンジはもともと右下がりのトレンドを描いており、センチメントがリスク選好とリスク回避のどちらに振れるかでレンジのなかで上下してきた。現在はリスク回避に振れてレンジの下限を試している局面。9月末までのレンジは89─95円でみている。 

(ロイター日本語ニュース 為替チーム 編集 橋本浩)

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