for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

来週の外為市場はドル最安値も視野に、米債務交渉と格下げ懸念で

 [東京 29日 ロイター] 8月第1週のドル/円は、難航する米債務上限引き上げ交渉や米国債格下げリスク、米7月雇用統計というドル安ショックを誘発しかねない材料が目白押しだ。

 7月29日、8月第1週のドル/円は、難航する米債務上限引き上げ交渉や米国債格下げリスク、米7月雇用統計というドル安ショックを誘発しかねない材料が目白押しだ。2月撮影(2011年 ロイター/Lee Jae-Won)

 短期筋も継続してドル・ショートを持ち続けるとみられ、ドルが3月につけた過去最安値を更新する可能性も視野に入ってきた。 

 予想レンジは、ドル/円が75.50―78.50円、ユーロ/ドルが1.40―1.45ドル。

<ドル・ショック>

 「8月第1週はドルにネガティブ・ショックを与えうる材料が目白押しで、ちょっとしたショックでドル/円が最安値を更新する場面がありうる」と野村証券・金融市場調査部シニア為替ストラテジストの池田雄之輔氏は指摘する。「債務上限引き上げ交渉は8月2日には妥結できず、交渉の妥結は週末までずれ込むと見ている。8月第1週のどこかで米国格下げを実施する可能性があり、5日の米雇用統計もショックになりうる」というのが同氏の見方だ。 

 市場では、債務上限引き上げ協議が決着した場合には、ドルが反発すると見られているが、反発の持続性については意見が分かれている。岡三証券外国債券グループのグループ長、相馬勉氏は「目先は(短期筋が)相当ショートになっているので、合意されれば若干ドルが戻るかもしれないが、ドル高トレンドに回帰することはないだろう」との予想。同氏は「合意は財政緊縮を意味し、米景気の足を引っ張ることになるだろう。QE3の話も現実味を帯びるとみている」とし、「ドル安と、流動性の過剰供給による資産価格を下支えで時間稼ぎをして、景気の自律回復をまつというのがアメリカのスタンスだろう」と話す。 

 これに対し、伊藤忠商事のチーフエコノミスト中島精也氏は「米債務上限引き上げ交渉がもつれ込んでいるが、ドル/円は、この問題で売られるべき水準まで売られた。過去最安値が近づいてはいるが、更新するとすれば米債がデフォルト(債務不履行)になった場合だ」と指摘。「債務上限引き上げ交渉は、大きな政府を志向する民主党と小さな政府を目指す共和党の存在意義をかけた協議だけに、ともに譲歩はしにくい。しかし、週末の国民世論の動向を確認したうえで、どちらかが歩み寄るのだろう」との見方を示した。

 米連邦債務上限引き上げ問題で、野党共和党のベイナー下院議長が提出した案は、同党内の反対を崩せず、米下院は採決を見送った。これについて共和党は29日午前10時(日本時間午後11時)に緊急会合を開くことを決めた。

 「交渉が合意すれば、ドルはいったん80円近辺まで買い戻されるだろう。合意内容を精査し、米債の格下げの可能性をはかるのは、それからだ」と中島氏は指摘する。 

 <日本政府はドル買い介入準備か>

 野田佳彦財務相は29日午前の衆議院財務金融委員会で、為替円高について「一方的で偏った動きであり、注視する」としたうえで、「過度な変動があれば断固たる対応をとるという日本の姿勢は明確だ」と述べた。介入の効果については「一時的に一定の効果がある」と語り、介入については、水準ではなく、無秩序で過度な変動に対応するのが基本だとした。

 「現在多くの方々からも厳しいという声をいただいているが、そうした厳しい状況を踏まえ、日銀とも連携して対応していきたい」(同財務相)との考えを示した。

 野田財務相の反円高の語気は明らかに強まっているため、市場の介入警戒感は増している。「野田財務相の発言がトーンを強めていることからみて、既に日銀と追加的金融緩和で合意が形成されている可能性がある」と野村証券の池田氏は述べた。昨年のケースでは、9月15日のドル買い介入実施に先立って、野田財務相が8月29日に「断固たる対応」との言葉を使い一方的な為替の値動きをけん制、翌8月30日に日銀が臨時の金融政策会合で追加緩和を実施した。 

<日銀追加緩和の可能性> 

 白川日銀総裁は25日の講演で世界経済の先行きに対する不確実性から円高が進めば、「輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて景気に悪影響が及ぶ可能性があり、注意深くみていく必要がある」と強調した。

 債券市場が金融政策決定でキーマンの一人とみる日銀の亀崎英敏審議委員は27日、円高による企業マインド悪化などの影響について、きわめて慎重にみているとした。同審議委員は、現時点では追加緩和措置が必要と考えていないとする一方、為替の影響など含め、必要な施策プロアクティブに打つと述べた。

 市場では、「プロアクティブな日銀の姿勢は、円高対策として、追加的金融緩和で政府と合意ができている証(あかし)」(邦銀)との見方も出ている。

 日銀は8月4日、5日に金融政策決定会を開催する予定。

(ロイターニュース 森佳子)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up