[千葉 15日 ロイター] ソニー6758.Tのゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)で国内事業を担当するSCEジャパンの河野弘プレジデントは15日、ロイターとのインタビューで、12月17日に発売する新型の携帯ゲーム機「プレイステーション・ヴィータ」について、任天堂7974.OSの携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」との競合関係は発生しないとの見通しを示した。
常日頃からゲームで遊んでいる「コア・ゲーマー」を重視しているため、任天堂の3DSとはターゲットが違うと指摘、「どちらかを買いたいと比べる人はあまりいないと思う」との見方を示した。
アジア最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ2011」の開催に当たり、インタビューに応じた。SCEは同日、PSヴィータの実機を国内で初めて公開した。
また、河野プレジデントは、カプコン9697.Tのゲームソフト「モンスターハンター(モンハン)」の新作をヴィータから発売する話はないと述べた。モンハンは、現行の携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の販売をけん引した有力ソフトだが、カプコンは、モンハンの新作を任天堂の3DS用に開発中だと明らかにしている。
インタビューの概要は以下のとおり。
――年末商戦でヴイータを国内発売する予定だが、今期はどのくらい販売する計画か。
「目標は公表していないが、初回出荷の50万台の3Gモデルには100時間分の通信料を無料でつけるので、この50万台を早期に売り切るつもりだ。とにかくスタートダッシュが大事」
――04年12月のPSPの発売時と比べて、ヴィータの準備はどうか。
「当時は発売の時に一緒に提供できるソフトの数は限られていたが、今回は26タイトルをハードと同時に出す。そして開発中のソフトは100タイトルだ。過去のハード発売の時に比べるとソフトがバラエティ豊かなのは大きな違いだ」
――任天堂の3DSとの勝負をどうみるか。
「社内ではヴィータと3DSは直接競合しないと思っている。商品コンセプトも違うし、見た目も違うし、(3DSの値下げで)価格も違う。ヴィータと3DSのどちらも持つという人はいるかもしれないが、どちらかを買いたいと比べる人はあまりいないと思う。かなり商品性が違う」
――ヴィータはコア・ゲーマーを意識しているか。
「操作や入力、コントローラーやキーを考えてもコア・ゲーマーのニーズを満たすことが重要だ。一方で、ソーシャルとの連動やコミュニケーションなど、カジュアルなゲームもたくさん出してほしい。ただ、コア・ゲーマーを犠牲にしてカジュアルユーザーにプレステが流れてしまうというイメージは持たれないよう配慮している」
――スマートフォンとの競合はどうみるか。
「競合はないと思う。スマートフォンでゲームをするユーザーにとっての価値はスマートフォンであって、ゲーム機ではない。スマートフォンにゲームの要素がついているだけ。われわれのコアバリューはゲームで、そこにコミュニケーションやソーシャルネットワークの要素がついている。だから、ゲーム機を買おうかスマートフォンを買おうかという人はいない」
――スマートフォンを持っているからゲーム機を買うのをやめようという層はいないか。
「それはカジュアルゲーマーの層で、ヴィータを本当に買ってくれるかどうかはわからない。そうしたユーザーがヴィータのすごく有力なターゲットかというと今は少し違う。時間が経ってくるとそうなってくるかもしれないが、最初はコアの人が飛びついてくれるものを出す。一方で、そのうちにすごくユニークなタイトルが出て、コア・ゲーマーではない人もヴィータに興味を持ってくれる人が出てくるかもしれない。そうしたタイトルを増やしたい」
――ヴィータは、3GモデルとWiFiモデルの販売の比率はどのくらいになりそうか。
「価格差は5000円だが、3G搭載モデルはいつでもどこでも接続できる環境を提供することで、ゲームの楽しみが広がって新しいゲームができる可能性がある。成長戦略のための新しいチャンスを広げるためにも3Gモデルをメインに売っていきたい」
――カプコンが「モンハン4」を3DSで開発中ということだが、モンハンの最新作はソニーから出ないのか。
「今のところ、プレステにモンハンの新作が来るという話はない」
(ロイターニュース 村井令二 イザベル・レイノルズ)