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豚インフルの人への感染拡大、世界的大流行に懸念高まる

 [メキシコ市 26日 ロイター] 豚インフルエンザの人への感染がメキシコに加え米国とカナダでも確認され、新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)に対する懸念が高まっている。

 4月26日、豚インフルの人への感染拡大で世界的大流行に懸念高まる。写真はメキシコ市の空港(2009年 ロイター/Tomas Bravo)

 メキシコのコルドバ保健相は26日、地元テレビに対し、豚インフルエンザウイルスの感染が原因とみられる死者は103人に達したと述べた。感染が疑われる約1600人のうち、約400人が入院しているという。

 その他の国でこれまで感染が確認されたケースは、米国が20件、カナダが6件。欧州各国、イスラエル、ニュージーランドなどアメリカ大陸外の地域でも感染が確認される可能性がある。ただし、今のところメキシコ以外で感染によるとみられる死者の報告はない。

 豚インフルエンザの人への感染拡大で、外国為替市場では米ドルに代わる通貨として円やスイスフランに買いが入り、ドルは対円で約1カ月ぶりの安値に下落した。

 米疾病対策センター(CDC)は緊急事態を宣言。米国内でも死者が出る事態となる可能性があると警戒している。

 豚インフルエンザの人への感染拡大は、メキシコ経済にも大きな影響を及ぼす。経済危機のあおりで、すでに下落しているメキシコペソは、26日の電子取引で約3%下落した。

 世界保健機構(WHO)は豚インフルエンザの人への感染拡大を「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と認識。事態がパンデミックへと発展する危険性があるとしている。

 新型インフルエンザウイルスが世界的に広まれば、世界的な経済危機で打撃を受けている世界経済にとって、さらなる試練となる。1968年の「香港インフルエンザ」の世界的な大流行では、死者数は100万人にのぼった。

 米国内でも感染が確認されたことを受け、米当局者はロシュROG.VXの抗ウイルス薬「タミフル」、およびグラクソ・スミスクラインGSK.Lの抗ウイルス薬「リレンザ」の国内備蓄の4分の1を配布する予定であることを明らかにした。この2つはどちらも豚インフルエンザの感染治療に有効であることが示されている。

 米国では、ニューヨーク州でこれまで8人の児童の感染が確認されている。メキシコ外の他の感染者と同様、症状は比較的軽いという。

 豚インフルエンザに人が感染した時の症状としては、通常のインフルエンザ感染時にみられる急激な発熱、筋肉痛、のどの痛みや乾いた咳に加え、嘔吐や下痢の症状が多くみられるという。

 今のところ、感染した人が豚と直接接触したと確認されたケースはない。

 保健当局は、今のところメキシコでのみ感染によるとみられる死者が出ていることについて、理由は不明としている。

 米疾病対策センター(CDC)アン・シュチャット博士は「米国で感染が確認されたウイルスが、メキシコのウイルスと種類が違うと判断するのは、時期尚早だ」と述べた。

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