for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

焦点:大口投資家の行動、市場の本格的回復を示唆

 [ロンドン 12日 ロイター] 現在の株高は持続可能か、それとも一時的なものなのか。その答えは、リスク選好を強める大口投資家の動きにあるかもしれない。

 5月12日、大口投資家の行動が市場の本格的回復を示唆。写真はニューヨーク証券取引所。7日撮影(2009年 ロイター/Shannon Stapleton)

 キャッシュから株式へのシフト、エマージング債投資欲の高まり、銀行のリスク保証料の低下、外為市場で高パフォーマンスをするキャリートレードなどはすべて、金融市場の回復継続を示している。

 これは単純に戦略的買いで片付けられる話ではない。大企業が下している決定が将来を見据えたより長期のコミットメントを示唆するケースもある。

 ステート・ストリート・グローバル・マーケッツは、機関投資家の顧客の動きに関する最新のリポートで「マクロの状況は回復しており、金融市場は正常化しつつある」と指摘し、2003年の株安局面と同様、ディフェンシブ銘柄物色から、より広範囲な循環に変化していることなどを挙げている。

 ステート・ストリートは、11兆ドルを超える規模のカストディ顧客に完全な「潮目の変化」を感じている 。安全第一の超弱気モードだった資産配分が2月以降、成長を想定した新たな強気型に変化。今や大口投資家は2008年5月以降で最も楽観的かつリスク選好モードとなり、あらゆる要素が世界的株高を裏付けている。「今回のラリーは、息切れするどころかまだ序の口」というのが同社が出した結論だ。

 <自信回復>

 ステート・ストリートの見方を裏付けるような、フローに関するデータは多々ある。

 たとえば、ファンド調査会社EPFRグローバルがまとめている株式ファンドの週間資金流出入動向によると、5月6日まで1週間は新型インフルエンザや米銀健全性検査(ストレステスト)の結果といった不安材料があったにもかかわらず、約37億ドルの流入超だった。

 流入資金の多くが向かった先は新興国株式。しかしそれ以上に重要なのは、資金のがどこから出たかだ。

 大口投資家が長期投資を敬遠して資金を一時的に待機させるマネー・マーケット・ファンド(MMF)。EPFRによると、その1週間は16億ドルの流出超だった。

 ロイターが日本、英国、欧州大陸、米国の機関投資家を対象に毎月実施している国際分散投資調査も、4月は株式の比率が今年最高となった。

 洗練された投資家がリスク警戒感から最も敬遠していた銀行セクターについて随分冷静になったという証拠もある。

 RBSのエコノミスト、アラン・ラスキン氏が指摘するのは、金融セクターのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアム曲線。これまで長期よりも短期の方がワイドな逆転状態だったのが平坦化。投資家の懸念後退で銀行の短期のデフォルトリスクに対する保証料が下がったことになる。

 ラスキン氏によると「実体経済という車輪に金融が油を差せば、株式市場の熱狂が起こりやすい」という。

 外為市場では、低金利の通貨で資金を調達し、高金利通貨に投資するキャリートレードも息を吹き返している 。

 豪ドルは対円で3月末から約9%、ニュージーランドドルは対円で6%上昇している。

 <潤沢な流動性>

 ただ、そうは言っても新たな強気市場が保証されたわけでなく、再び調整が起こらないとも限らない。

 今年1月、2月と株式市場が低迷した際、多くのアナリストが売られ過ぎと指摘した。

 現在の資産配分については、前回の株式バブルの要因と指摘された流動性主導の利益追求の動きではないかとの見方もある。

 スタンダード・バンクのスティーブ・バロウ氏は「世界の株は上昇し続け、債券利回りは上昇するとみられるが、こうした動きは、持続的景気回復のサインというより流動性の高まりで生じたものだ」とみている。

 金融市場の回復が本格的なものかどうかの議論は続くだろう。しかし、最近の大口投資家の動きは、回復が本物との見方が大勢を占めていることをうかがわせている。

 (Jeremy Gaunt 記者;翻訳 武藤邦子;編集 山川薫)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up