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コラム

コラム:乱立する国際金融機関、「サブプライム危機」再来も

[ニューヨーク 7日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米国が住宅ブームの絶頂期にあったころ、借り手は一生安泰に見えた。不動産価格が高騰するにつれ、最も信用リスクの高い人たちでさえ、簡単に融資を受けることができた。銀行は担保条件を緩め、所得証明書の提出も求めなかった。だが、こうしたやり方はうまくいかなかった。

 4月7日、サブプライムローン危機と同じことが、世界的な経済開発資金で起きてもおかしくはない。北京で開かれた中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立セレモニーで昨年10月代表撮影(2015年 ロイター)

サブプライムローン危機は、ある種の競争が行き過ぎたときに何が起きるかヒントを与えてくれる。サブプライムローンは収入以上の暮らしを求める消費者には素晴らしいかもしれないが、金融機関にとっては危険を招きかねない多大な譲歩を伴う。それが極限状態になったとき破綻が待っている。故に、新たな規則や融資基準が少なくとも必要となる。

こうしたサブプライムローン危機と同じことが、世界的な経済開発資金で起きてもおかしくはない。ブレトンウッズ協定により、欧米主導の世界銀行と国際通貨基金(IMF)が設立されて以降、この2つの機関が、危機にある国や貧困脱却を目指す国への融資を担ってきた。

しかし現在、IMFと世銀の覇権は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード基金、新興5カ国(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)による新開発銀行などの台頭に直面している。

世銀のキム総裁は7日、米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、「適切な基準があれば、AIIBや新興5カ国が設立する新たな開発銀行は、貧困国や新興国の経済発展にとって大きな力となる可能性がある」と述べた。

しかしながら、米国のサブプライム危機が示すように、多国間融資の過当競争は、民間の体力を弱らせ、ガバナンスの悪さを助長し、貧富の差を潜在的に拡大させる危険がある。独裁的指導者が率いる貧しい国家が、最も甘い条件で最高の融資を得るために、アジアの新国際金融機関を利用しようとするのは想像に難くない。

このように主張するのは主に米共和党議員だが、IMF改革への彼らの反対がほぼ間違いなく、中国を独自の投資銀設立に向かわせたのは皮肉なことだ。

2016年の米大統領選に向け、7日に共和党指名候補争いへの立候補を表明したランド・ポール上院議員(ケンタッキー州選出)は、4年前に上院選に出馬した際、世銀とIMFが「有用性を失い、世界経済の発展を損なっている」として、米国は手を引くべきだと主張した。

ポール議員は、中国とインドが貧困から抜け出せたのは国内改革によるものであり、世銀の融資によってではないと指摘。チリと韓国についても同様だとした。また、ひどい経済政策を取るアフリカ諸国に対する数百億ドル規模の融資の一部は、改革を回避し「民主政治の発展を妨害する」ために使われたと批判した。

IMFに関しては、より金利が高く、より厳しい財政規律が求められる資本市場での調達から「腐敗した無能な政権」を救ったと非難。政府や民間金融機関は救済を当てにするようになり、「無責任な行動」を助長したと述べた。

こうした考え方に基づき、ポール議員はIMF改革を可能にさせる条件を含むウクライナ支援案にも反対した。IMF改革案は2010年に同理事会で合意されている。改革案には中国を含む新興国の出資比率を引き上げることが含まれているが、米議会はまだ承認していない。

世界経済の実体を考慮すれば、こうした改革も当然のことだろう。IMFへの中国の出資比率は現在4%。中国の3分の1の経済規模である英国を下回っている。改革案では、中国の出資比率が4%から6.39%に、ブラジルも1.79%から2.32%に引き上げられる。ただしどちらの場合も、米議会調査局によれば、世界GDPに占める割合から見れば、それでも低いという。

しかし米議会が改革案を承認しなければ、こうした変更は実現しない。米国が参加することなしに、中国はAIIB設立に向け、わが道を突き進むだろう。世界で新たな「底辺への競争」がスタートした。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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