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米雇用統計:識者はこうみる

──米労働省が発表した5月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が28万人増となり、昨年12月以来の高い伸びとなった。市場関係者のコメントをまとめた。

 6月5日、米労働省は5月の雇用統計を発表した。写真はロサンゼルスの就職フェア会場で4日撮影(2015年 ロイター/David McNew)

[5日 ロイター] 米労働省は5日、5月の雇用統計を発表した。市場関係者のコメントは以下の通り。

●9月利上げの可能性

<アリアンツ(カリフォルニア州)の首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

雇用の伸びが堅調だったことに加え、賃金も上昇していることを踏まえると、労働市場は引き続き改善が進んでいるといえる。米連邦準備理事会(FRB)は年内、おそらく9月に利上げにすると思われる。

●利上げ予想時期前倒しへ

<アメリプライズ・フィナンシャルのシニア・エコノミスト、ラッセル・プライス氏>

上向きサプライズで、米経済が第1・四半期の落ち込みから実際に抜け出しつつあることを示している。時間当たり賃金の伸びに弾みがつき始めたようで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期予想が前倒しされる公算が大きい。最近は利上げ開始が2016年にずれ込むとの見方が高まっていたが、現在の状況が続けば、利上げ予想時期が年内に押し戻される可能性が高い。

雇用統計の内訳ではサービス業が極めて強い伸びとなった。また、臨時雇用者数が良好に推移してることは、今後も良好な雇用の伸びが継続する公算が大きいことを示している。

●景気低迷懸念、確実に払しょく

<BTIG(ニューヨーク)の首席ストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏>

第2・四半期に景気が弱含むとの懸念は、発表された5月雇用統計を受け、少なくとも労働市場に関する限り、確実に払しょくされた。非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことに加えて、3・4月分が計3万2000人上方修正された。ただより重要だと思われるのは、時間当たり賃金が0.3%増加した。この結果、前年比で2.3%増と、2013年8月以来の高水準を記録した。

確かに失業率は5.4%から5.5%に上昇したが、賃金が伸び、雇用情勢も明るさを増していくなら、失業率の低下ペースは弱まる。労働力として加わっていない人の数が減少したことで、こうした状況が現在、生じているのだろう。

米国債の急落に注目したい。利回りは幅広い年限で上昇している。米連邦準備理事会(FRB)が年内の利上げに踏み切るのはほぼ確実との見方が、明らかに市場で広がっている。現在の労働市場の勢いは昨年より鈍いが、年内利上げを妨げるほどではない。

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