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1月貿易赤字、過去最大の1兆4750億円:識者はこうみる

[東京 20日 ロイター] 財務省が20日に発表した1月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は1兆4750億円の赤字となった。世界経済の減速や円高の長期化に、中国の春節休暇による特殊要因が加わり輸出が低迷した結果、過去最大の赤字幅を記録した。これまでの最高はリーマン・ショック後の2009年1月の9679億円だった。

2月20日、1月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は1兆4750億円の赤字となった。都内の港湾施設で1月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●赤字続くも輸出は徐々に改善へ

<コスモ証券 投資情報部 担当課長 田口はるみ氏>

1月の貿易収支は予想通り過去最大の赤字となった。要因は、1)年初である1月は赤字になりやすい、2)アジア旧正月の特殊要因、3)タイ洪水の影響、4)原油価格の上昇──にある。ただ輸出の先行指標とみられているOECD景気先行指数は上向き始めており、4カ月連続で減少している輸出は今後、徐々に改善するとみている。一方、イラン情勢をにらみ原油価格の上昇は引き続き見込まれ、輸入は高めで推移するだろう。貿易収支は先行き改善するだろうが、赤字は続くとみている。

●赤字は日本の構造問題、円安転換なら円債にアゲンスト

<みずほインベスターズ証券・チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

1月貿易赤字は過去最大を記録した。中国の春節休暇など特殊要因の影響があったとはいえ、日本の構造的問題を含んでいるため、決して楽観することはできない。輸出面で円高の影響や日本製品の国際競争力の衰え、企業の海外移転、輸入面で原発停止によるLNG輸入や原油価格の上昇傾向などが挙げられるが、早期解決に難しい要因が多い。赤字拡大を止めるのが精いっぱいかもしれない。貿易赤字になったことで経常収支は一時的に赤字になる可能性があるが、所得収支の寄与で恒常的に赤字になる局面までには時間がある。

金融市場への影響について、為替で歴史的な円高がピークアウトし、円安トレンドが発生した可能性も否定できない。円安が続けば輸入物価を押し上げる。円安を好感した株価が一定以上に上昇すると、資産効果が働いて景況感にプラスに作用する可能性がある。貿易赤字が続くようだと、債券市場にとってアゲンストだ。

●ドル高/円安を邪魔する「実需の壁」は薄くなっている

<みずほコーポレート銀行 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

1月は中華圏の休みの影響があるので、これほど大きな貿易赤字が2、3月と続くことはないが、基本的に日本の貿易収支は輸入、より厳密に言えば輸入価格に振らされている部分が大きいので、原油価格や液化天然ガス(LNG)価格が変わらない限り、今年も赤字が続いてしまうだろう。一方、輸出は、昨年は数量を大きく下押しするような出来事──東日本大震災やタイの洪水など──が重なったので、昨年に比べれば数量面での押し上げは期待でき、現状維持ないし微増の可能性がある。

以上を踏まえれば、輸入に関してはこの高い水準が減って行くという公算がどうしても立たないが、輸出は横ばいもしくは微増の可能性があり、この結果、貿易赤字は縮まるかもしれないものの、大きな黒字は難しいという結論になる。

需給フローに関しては、明らかに円を売りたい人が増えてくる局面に入ってきているが、今まで円高に振れたときの説明で使われてきた「日本は世界最大の対外資産国だから」という事実は1年、2年で変わる話ではない。よって、欧州の問題などで、センチメントが暗い方に向いてくると、また円高になることもあり得るというリスクシナリオを持っておいた方がいい。ただ、方向感としては輸出企業の(円買い)オーダーが掃けてきているので、上(ドル高/円安)に行くのを邪魔する「実需の壁」は薄くなっていると判断している。

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