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焦点:スペイン銀行支援、より大規模な救済に向けた第一歩か

[パリ 10日 ロイター] ユーロ圏財務相は9日、スペインの銀行の資本増強に向けて、同国に最大1000億ユーロ(1250億ドル)の支援を行うことで合意した。

6月10日、ユーロ圏財務相はスペインの銀行の資本増強に向けて、同国に最大1000億ユーロ(1250億ドル)の支援を行うことで9日に合意した。写真は同国の国旗。マドリードで2月撮影(2012年 ロイター/Paul Hanna)

ラホイ首相はここ数週間、国内銀行問題で対外支援は必要ないと表明し続けてきた。ただ、欧州当局者筋によると、スペインの問題がユーロ圏の他国へ波及する可能性が高まるなか、スペインは救済要請に踏み切るよう迫られた。

ラホイ首相は、実施した改革によりスペインは全面的な公的債務への救済を免れたと主張している。一方、アナリストの中には、今回の銀行支援は最終的な救済に向けた第一歩に過ぎないとの見方がある。

ウニクレディトの首席エコノミスト、エリク・ニールセン氏は、銀行の資本増強が終われば、銀行、地方政府、および構造的な問題という主要な3つの問題に基本的に対応したことになるとの見方を示した。

一方、ユニバーシティ・カレッジ(ダブリン)のエコノミスト、カール・ウェラン氏は「破たん銀行の資本増強や損失を伴う買収はスペイン国民の負担となる」と指摘。そのため、今週末に発表された救済によりスペインは国債市場へのアクセスを絶たれる可能性がある、との見方を示した。

フィッチ・レーティングスは7日、スペインの国債格付けを3段階引き下げ「BBB」とした。これは投機的(ジャンク)等級をわずかに上回る格付け。

政府は2012年の借り入れの58%を既に確保しているが、年末までにさらに825億ユーロの借り換えを行う必要がある。さらに2012年下半期には157億ユーロの地方政府の債券が償還を迎える。

インターマネー(マドリード)の首席エコノミスト、ホセ・カルロス・ディエス氏は「(スペイン国債は)ジャンク等級にかなり近い。最終的にジャンク等級になるだろう。こうした状況では、投資家の反応をみて、資本逃避が止まるかどうかを見極めることだ。資本逃避が止まらなければ資金調達問題が悪化し、救済規模は徐々に大きくなる」との見方を示した。

<ギリシャ選挙前のタイミングでの支援>

6月17日のギリシャ再選挙で緊縮財政反対派が勝利した場合にギリシャとスペインの問題が他のユーロ圏に波及することを欧州当局者は警戒している。

公表されている最新データによると、3月のスペイン国内銀行からの資本流出はネットで660億ユーロと過去最高水準だった。これは、国内銀行大手バンキアBKIA.MCが国有化される前のデータだ。

ラホイ首相は救済に踏み切るよう迫られたとの見方を否定しているが、ドイツとフランス、欧州中央銀行(ECB)、欧州委員会、および、国際通貨基金(IMF)は、ギリシャの選挙前にスペインが救済を要請するよう迫った可能性がある。ある独政府高官は、ドイツ政府がスペインに対し、いま銀行救済を要請しなければ、いずれ国家救済要請に追い込まれると警告した、と話している。

ある政府筋は「スペインはシェルターの中にいるほうがまだいい」と述べ、ギリシャの選挙前というタイミングが重要だったと明らかにした。

メルケル独首相は、スペインの財政や労働市場の改革を評価したうえで、支援の条件としてスペインが追加の緊縮財政を行う必要はないとの考えを示した。オランド仏大統領も迅速な支援を評価した。

<次はイタリアか>

ソードフィッシュ・リサーチのゲーリー・ジェンキンス氏は、スペイン救済資金として欧州安定メカニズム(ESM)が活用されることを投資家は警戒していると述べた。ESMが活用されれば、債券投資家は債務再編時に損失負担を余儀なくされる可能性があるとという。

ジェンキンス氏は「ギリシャ救済で民間部門の関与が必要だったことを踏まえると、(スペインの)銀行について民間部門関与がなかったとしたら驚きだ」と語った。

ルクセンブルクのフリーデン財務相は、スペイン支援について、いかなる事態にも対応できることを市場に示すため支援額を意図的に大きくすることで合意した、と明らかにし、全額が使われるとは思わない、との考えを示した。

「1000億ユーロにはならないだろう。(不測の事態に対処する)余地があり、専門的な調査で高額が必要になるとの結論が出たとしても対応が可能だ」と語った。

スペイン支援はイタリアに対する圧力を和らげる狙いもある。ギリシャに次ぐ重債務国であるイタリアは次の救済国になるとの見方が一部のアナリストの間である。

ゼンフィン(ロンドン)の為替ファンド部門のディレクター、ニック・ホカート氏は「次の支援国は、2000億か3000億ユーロのイタリア向けだろうか。スペイン支援はこうした不安を増幅させているに過ぎない」と語った。

シティのエコノミストは、イタリアは長期にわたり債務拡大に直面すると指摘。ある時点でECBやユーロ圏救済基金、IMFによる一定の介入が必要になるとの考えを示している。

(Paul Taylor記者;翻訳 伊藤恭子)

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