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焦点:「ミセス・ワタナベ」が新興市場投資、円安で活動再開

[ロンドン 23日 ロイター] 「ミセス・ワタナベ」と称される日本の個人投資家が円安の波に乗り、新興市場への投資を再開している。JPモルガンによると、新興市場を対象とする日本の投資信託は昨秋以来、資産規模が40億ドル以上拡大した。日本の家計金融資産は1500兆円(17兆ドル)に達し、投資の拡大余地は大きい。

1月23日、「ミセス・ワタナベ」と称される日本の個人投資家が円安の波に乗り、新興市場への投資を再開している。写真は昨年9月、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

最近までは過度の円高が続いて海外投資を国内償還すると損失が出ていたため、家計資産は国内にとどまっていた。

しかし新政権による円安政策が状況を一変させる可能性がある。海外資金は日本株への投資に殺到しているが、JPモルガンのデータによると国内の資金は逆に海外に流出している。

HSBCグローバル・アセット・マネジメントのグローバル・マクロ戦略責任者、フィリップ・プール氏は「円に対して上昇しそうな通貨に資金を投じるのが(現在の)動きだ」と言う。

家計金融資産に占める海外資産の比率は5%に満たず、そのうち新興市場資産はごくわずかな割合だ。それでも総額1000億ドルを超え、世界最大級の新興市場ベンチマーク指数に連動する資金の約5分の1に相当する。

家計資産の新興市場投資には投信のほか、個人向けの外貨建て債券「売り出し債」が含まれる。

プール氏は「(新規)マネーのうち、わずかな割合が動くだけでも新興市場に大量の資金が流入する」と話す。

<抜け目のない投資家>

日本の個人投資家は過去に、利回りを求めてニュージーランドからブラジルまで幅広く手を伸ばし、抜け目のない裁定プレーヤーとしての評判を確立してきた。2008年の世界金融危機以前には円キャリー取引の立役者だった。

当初は豪ドルとニュージーランド(NZ)ドルがポートフォリオの主役だったが、その後はさらに利回りの高いブラジルレアルの人気が高まった。

海外投資への意欲を測る物差しは、新規の投信と売り出し債への需要だ。

昨年末に発行された投信の購入額は23億ドルと、単一の投信として過去6年間で最大に膨らんだ。来週は利回りの高いアジア債券に特化した投信が複数設定される予定だ。

バークレイズ銀行(東京)の通貨ストラテジスト、ビル・ディビニー氏は、新規の売り出し債は圧倒的に新興市場通貨建てが多いと指摘。一方で、過去にミセス・ワタナベのお気に入りだった豪ドルとNZドル建ては現在、償還超過だという。

ディビニー氏は「トルコ、ブラジル、メキシコ、ロシアの各通貨建て売り出し債は発行の方が増えており、明らかに通貨配分の変化を示している」と述べた。

昨年はトルコの売り出し債に約35億ドルが流入した。

<海外要因も影響>

日本の通貨政策の変化に加え、世界的な景気回復傾向と欧州債務危機の沈静化という海外要因も家計資産の投資動向を変化させている。円が逃避先として買われ円高を招く可能性が減じたからだ。

ディビニー氏は「(円高)リスクの大幅な低下により、個人投資家にとって利回りが比較的高い海外資産の魅力が増しそうだ」と指摘する。

世界的な景気回復は、新興市場通貨が上昇する可能性も意味する。アナリストは、新興市場通貨がことし対ドルで平均3─5%上昇すると予想している。

HSBCのプール氏は「(購買力平価)ベースで見ると円はなお過大評価されており、新興市場通貨は、恐らくブラジルレアルを除いてどれも過小評価されているように見える」と述べた。

債券利回りも一役買っている。オーストラリアの政策金利は2008年以前には7%を超えていたが、現在はその半分程度。10年物国債利回りは3.3%前後で、キャリー取引の妙味が乏しくなっている。

対照的に新興市場通貨建て債券の利回りは平均5.5%で、トルコやブラジルなどさらに高い国もある。

(Sujata Rao記者)

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