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コラム

コラム:米アップルの指紋認証システムが秘める可能性

米アップルAAPL.Oは、同社の将来に懐疑的な人々に対して露骨に喧嘩を吹っかけた。クック最高経営責任者(CEO)ほかの幹部が10日、「iPhone(アイフォーン)」の新しい2機種を発表した後で株価が2.2%下げた点からは、はっきりと読み取れない。しかし今回のアップグレードにより、アップルは携帯機器を通じた決済の分野で革命を開始したかもしれないのだ。

9月10日、指紋認証は何年にもわたって有望視されてきたが、ライバルが先に投入した機器では利用の難しさとバグの多さが判明した。その点アップルは、技術が本当に機能するまで待ち続けたことを誇っている。写真はカリフォルニア州で撮影(2013年 ロイター/Stephen Lam)

画期的な携帯型の腕時計やテレビが出てくる代わりに、「アイフォーン5」の後継となる「5S」と廉価版の「5C」が、基本ソフト(OS)と処理速度、カメラが改良されて登場した。そして「5S」には指紋認証システムという驚きの機能も加わっている。

指紋認証は何年にもわたって有望視されてきたが、ライバルが先に投入した機器では利用の難しさとバグの多さが判明した。その点アップルは、技術が本当に機能するまで待ち続けたことを誇っている。デジタル音楽プレーヤーやスマートフォン(多機能携帯電話)も初めて売り出したわけではないのに、ライバルをしのぐ製品を生み出してきたのがアップルといえる。

そのアップルが今、指紋認証の人気が高まる態勢にあると考えているのは明らかだ。今回のシステムは異なる指をさまざまな角度で認証することが可能で、本体の立ち上げやオンラインストアにおける買い物の際の本人確認などに利用できる。

これはセキュリティに敏感な法人市場により強い形で訴えかける可能性がある。この分野ではもともと、アップルの機器がグーグルGOOG.OのOS「アンドロイド」搭載機器よりも優位に立っており、簡単に推測可能なパスワードより迅速で、より確実なセキュリティを提供する指紋認証が、その差を拡大させる展開もあり得る。

もっと重要なのは、この新たなセキュリティシステムによって、バーチャル決済市場への扉が開かれる点だろう。生体認証機能と支払い機能を備えた携帯機器を持つことで財布を持ち歩く理由は薄れる。結局のところ、現金は盗まれたりなくしたりしかねず、磁気ストライプ仕様のクレジットカードが簡単にコピーができることは有名だ。

だが投資家はほとんど心を動かさなかった。アップル株が値下がりして引けたのに対して、決済事業大手ビザV.Nの株価は3%上昇。恐らくアップルの指紋認証システムはうまくいかないか、消費者が財布を持たないことに抵抗感を示すとみられているか、あるいはビザやマスターカードMA.Nが携帯機器を利用した決済の分野でも最終的な支配者になると見込まれているのだろう。

それでもアップルには、地図アプリでの迷走などの問題があったとはいえ、音楽や書籍、スマートフォンの市場で創造的破壊をもたらしてきた実績がある。同じように決済事業会社がきっちりと囲い込んで安座している市場に風穴をあけることは可能だろう。

<背景となるニュース>

*アップルは新アイフォーンとして「5S」と「5C」の2機種を発表。カラーバリエーションを増やし、OS、プロセッサ、カメラのアップグレードを行った。「5S」は指紋認証機能も備え、センサーは違う種類の指をさまざまな角度から認識できる。本体のロック解除や音楽・動画再生アプリの「iTunes(アイチューンズ)」の本人確認などにも利用できる。新機種の発売は20日から。

*アップルの株価は10日の発表会を受けて2%強下落した。

[ニューヨーク 10日 ロイター]

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