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コラム:「円高は秋まで」の為替アノマリー=熊野英生氏

毎年、ドル円は5月連休後から円高になり、それが秋まで続いた後に、冬から円安に転じ、春先までその基調が持続する。リーマンショック後の2009年以降、この季節的な為替変動のパターンが多かれ少なかれ成立している。為替のアノマリー(理論では説明できない規則的変動)である。

10月7日、第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏は、2009年以降のドル円の年間季節変動パターンは、アベノミクス後も健在である可能性が高いと指摘。提供写真(2013年 ロイター)

私たちは、12年11月以降のアベノミクス始動によって、あまりに華々しい円安転換を遂げたために、為替の季節的変動のことを一時的に忘れてしまっていた。

しかし、冷静になって、12年後半から13年10月までのドル円の推移を描いてみると、きちんと12年秋が円高の最終局面になり、13年5月にその後の円安の流れが天井をつけて円高に揺り戻される動きになっている。

「アベノミクスによって今回は違う」ようにみえても、やはり09年以降の年間季節変動のパターンは生きている可能性が高い。株の格言には、「5月に売り逃げよ。9月に戻ってくることを忘れるな」というものもある。

<ドルは「今が底」の可能性>

目下、債務上限問題は米政府の債務不履行(デフォルト)リスクを想起させて、潜在的なドル安要因になっている。シリア問題、米連邦準備理事会(FRB)次期議長選出、政府機関の一部閉鎖など、このところオバマ大統領の采配が次々に裏目に出て、「強いアメリカ」像は見る影もない。

米政府の債務上限は今後、どこかに落とし所を見つけなくてはならない。今月17日の期日が目処になる。歳出抑制、短期国債の借り換えでどうにかしのいでも今月末までに対処しなくてはならない。デフォルトが起これば、想定外のドル安になるだろう。

債務上限問題と政府機関の一部閉鎖はすでに景気情勢を混乱させており、今後の経済指標のかく乱要因となろう。そうすると、12月に量的緩和第3弾(QE3)縮小に着手することも極めて困難になる。来年になって次期FRB議長に替わって、いきなりQE3縮小へ着手するのも不安が残る。当面は、ドル安圧力が強まる展開であろう。

ただし、為替のアノマリーを前提にすると、10月以降のどこかで円高・ドル安の流れが反転するチャンスが訪れる可能性もあり得るのではないか。実は「今が底」という理解だ。

米景気指標は雇用統計こそ奮わないものの、ISM製造業指数は好調に拡大している。過去10年のデータを振り返ると、米株価(ナスダック指数)の前年比伸び率とISM製造業指数の伸び率は連動するかたちになっている。

米ファンダメンタルズがしっかりしていることは、株価上昇を促し、ドル高・株価上昇の基調的な流れをつくることになる。堅調な景気情勢を前提に考えると、米債務上限問題による不透明感が解消されれば、円安・ドル高への転換もあり得る。

一方で、日本側の状況を振り返ると、年末・年度末にかけては消費者物価指数が前年比1%台半ばまでプラス幅を拡大していることが予想される。13年8月の消費者物価(除く生鮮食品)は前年比0.8%まで上昇している。これは円安要因である。

日本の景気も消費税増税の駆け込み需要などの後押しもあって、楽観的な見方が台頭しやすいのが13年度下期のタイミングである。やはり、今秋以降のどこかで、ドル円が円安方向に反転していくきっかけを得て、14年5月辺りまでは円安傾向が進むことが期待される。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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