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再送:〔焦点〕三菱UFJ増資で注目される三井住友とみずほ、立ちはだかる株価急落リスク

*この記事は18日午後10時04分に送信しました。

 [東京 18日 ロイター] 三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tによる最大1兆円の普通株増資の発行登録を受け、次の焦点は三井住友フィナンシャルグループ8316.Tとみずほフィナンシャルグループ8411.Tの資本政策に移った。相対的に健全とされる三菱UFJが資本増強に踏み切ったことで、両グループの追加増資は必至の情勢だ。だが、現行の株価や調達金額、タイミングなどによっては、株価急落のリスクもあると市場関係者はみており、実際に踏み切るには多くのハードルが横たわっている。

 三菱UFJよりも先に決算発表したみずほの塚本隆史社長は13日の会見で「現在、増資の計画はない」と表明。同じ日の決算発表で三井住友の北山禎介社長は「BIS(国際決済銀行)の自己資本比率規制の枠組みが大幅に変更されたり、大型買収が発生するなど資本調達の必要性が生じた場合は、最適な方法で資本調達を検討する」とは述べたものの、それ以上の言及を控えていた。

 こうした両社に増資の可能性が高いと市場関係者や他の銀行関係者が見ているのは、北山社長も指摘したBISの自己資本比率規制の枠組みの変更が今年末にも打ち出され、12年から実施を迫られる可能性が出てきているからだ。

 バーゼル銀行監督委員会が細部を詰めている新しい自己資本比率規制では、Tier1から優先株と優先出資証券を除いたコアTier1比率を6%以上にする方向で議論が進められているとみられている。複数の金融当局筋によると、コアTier1から控除する項目に、現在の規制では算入が許されている繰り延べ税金資産や無形固定資産も除外される可能性が出てきている。

 この規制の変更が実現すれば、自己資本に占める優先株や繰り延べ税金資産などの割合が欧米の銀行に比べて高い邦銀にとって、普通株による大型増資が避けられないことを意味する。

 <メガバンク増資のバンジージャンプ、次は三井住友との見方>

 そうした状況の下で、相対的に財務基盤が強固とみられていた三菱UFJが、大型増資を発表して先手を打ってきた。

 「メガバンクの増資ラッシュは、バンジージャンプの順番待ちのようだ」――。ある大手銀行幹部は、増資をめぐるメガバンクの様子をこう表現した。まず意を決して最初に飛び込んだのが三菱UFJ。上限1兆円の発行登録をし、年内の払い込みを終える方向で調整している。「これに続くのは三井住友かみずほか。ジャンプ台でお互いに譲り合っているように見える」と、この幹部は解説する。

 譲り合いの理由は株価だ。三菱UFJの増資方針を受けた16日の同社の株価は、前日比28円安の480円に下落した。ただ、発行株数は約17%増えるにもかかわらず、下落率は5.5%で踏みとどまった。ある株式トレーダーは「増資による希薄化懸念はある程度織り込まれていた上、増資競争で優位に立っているという点がそれなりに評価された」と分析する。

 三井住友とみずほも同じように評価されるのかどうか。「へたをすると底なしの株価下落に見舞われかねない。バンジージャンプで言えば、あると思っていた命綱がなかったということになりはしないだろうか」と、その幹部は心配する。

 <ロックアップ解除は三井住友が12月19日、みずほは1月10日>

 三井住友は6月に9000億円、みずほは7月に5500億円と、ともに普通株発行で資本増強したばかり。現在、両社は新株発行後、6カ月間は新たな新株を発行しないと決めたロックアップの期間中だ。解除されるのは三井住友が12月20日、みずほは来年1月10日だ。

 しかし、解除後、すぐに株式発行できる環境にあるわけではない。外資系証券幹部も「株価崩落の懸念に直面している」と指摘する。三井住友の18日終値は2850円。みずほは同166円。いずれも今年、両社が実施した公募価格を下回る水準だ。「こんな株価の状況で、時価発行増資を行ったら市場からの信認を失いかねない」とその外資系証券幹部は語る。株価が低迷したまま巨額増資に踏み切れば、それだけ希薄化の規模も大きくなり、株価へのインパクトも多大だ。

 三菱UFJのTier1から優先株と優先出資証券を除いたコアTier1比率は6.8%。1兆円増資で1%上乗せできる。UBS証券の推計によると、同じ基準のコアTier1は三井住友は5.2%、みずほは4.4%となる。UBSの銀行アナリスト、大槻奈々氏は三菱UFJと同水準のレベルに自己資本を強化するには三井住友が1.2兆円、みずほは1.8兆円が必要だと試算している。

 さらにコアTier1から控除する項目に、繰り延べ税金資産や無形固定資産が正式に決まれば、一段と自己資本比率は低下する。各メガバンクは銀行業務の根幹を成すシステムを動かすソフトウエアを無形固定資産として計上しており、無形固定資産のカウントの行方は大きな影響を与える。三菱UFJでさえ「これを全額差し引かれたら苦しい」(幹部)という状況だ。

 株式市場では、2つのメガバンクの増資の可能性が市場全体の需給を悪くしているという声が出ている。三井住友とみずほの首脳がどのような決断を下すかによって、東京株式市場の方向性にも大きく影響を与えそうだ。 

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 (ロイター日本語ニュース 布施 太郎記者:編集 田巻 一彦)

 ※(taro.fuse@thomsonreuters.com; 03-6441-1820: ロイターメッセージング:taro.fuse.reuters.com@reuters.net)

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