[ニューヨーク 13日 ロイター] 米大手住宅ローン会社インディマック・バンコープIMB.Nが11日に業務停止し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれるなか、さらなる米銀行が経営破たんに陥る可能性が高い。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジェラルド・キャシディ氏は、今後3年間で300行以上が破たんに陥る可能性があると述べた。キャシディ氏は2月、破たんの可能性がある行数を150未満としていた。
サブプライム住宅ローンに集中していた信用損失が、このほかの住宅ローンや、かつて安全と見なされていた債務に拡大するなか、銀行への圧力は増大している。
こうしたなか、投資家は連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.Nと連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.Nの安定性を懸念するようになった。インディマックはこのどちらともつながりはない。
アナリストらは破たんの可能性がある銀行名を言明していないが、複数の中小行と一部の大手行は、株主資本と融資損失引当金の合計に対する不良資産比率が上昇している。
先のキャシディ氏は「建設融資やエキゾチック住宅ローンなどを含むリスク性が最も高い資産に大きなエクスポージャーを持つ金融機関を注視する必要がある」と述べた。
その上で「預金取扱機関にとって止めの一撃となるのは、低コストでの預金獲得が困難となる資金調達危機だ」と話した。
インディマックは、FDICの管理下に置かれる前の取り付け騒動で11営業日に13億ドル超の資金流出に見舞われた。
FDICのベアー総裁は13日、「すべての金融機関預金者は、自身の付保預金が安全であることを理解するべきだ。あなた方が預金している金融機関がFDICの管理下に置かれる可能性は極めて小さい。仮にそうなったとしても、自身の付保預金へのアクセスが事実上中断されることはない」と語った。
さらに「いずれの預金者も付保預金のわずかたりとも失ったことはない。この国の圧倒的多数の金融機関は安全かつ健全だ」と強調した。
インディマックは、かつて米最大手の住宅ローン会社であったカントリーワイド・ファイナンシャルを創設したアンジェロ・モジロ氏とデービッド・ローブ氏により1985年に設立され、借り手に収入や資産に関する書類を求めないオルトAと呼ばれる住宅ローンを専門としていた。
カントリーワイドは1日、米大手行バンク・オブ・アメリカ(BOA)BAC.Nにより買収されている。
FDICは3月31日時点で、90行を「問題のある金融機関リスト」に掲載したことを明らかにしていた。これらの機関の資産総額は263億ドルとなる。リストに含まれているインディマックの資産と預金額は、それぞれ約320億ドルと約190億ドル。
1980年代と90年代序盤には2000行をはるかに上回る金融機関が破たんした。キャシディ氏は、貯蓄貸付組合(S&L)の清算を目的に創設された整理信託公社と類似した機関の設立を政府は考慮する必要があると述べた。
キャシディ氏は、銀行の不良資産が有形エクイティと融資損失引当金の合計を超えた場合、経営破たんの可能性は「非常に高くなる」と述べた。
レーデンバーグの銀行アナリスト、リチャード・ボーブ氏は13日付のリポートで、少なくとも90日延滞の融資を含む不良資産が、株主資本と引当金の合計の40%を突破した時点で「危険ゾーン」に突入すると述べた。
ボーブ氏は「官僚が弱気の発言をしているが、システムは80年代終盤から90年代序盤に存在した危機の領域には近づいていない」とする一方、「恐らく、第2・四半期の決算は、こうした発言が正しいことを証明するだろう」との見方を示した。
ボーブ氏は3月31日付のFDICのデータを引用し、100余りの大手行の中で、株主資本と引当金の合計の対する不良資産の比率が146.2%のインディマックはリスクが最も高かったと述べた。
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(Jonathan Stempel記者;翻訳 山口 肇) ※(hajime.yamaguchi@thomsonreuters.com; 03-6441-1779; ロイターメッセージング:hajime.yamaguchi.reuters.com@reuters.net)