[ニューヨーク 25日 ロイター] - ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は25日、カナダと進めている北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の2国間協議について、カナダは3カ国協定としてのNAFTA維持に必要な譲歩を行っていないとし、米国がメキシコのみとの2国間協定に向けて動き出すまで多くの時間は残されていないとの見解を示した。
ライトハイザー代表はニューヨークで開かれたコンコーディア・サミットで、NAFTAを巡り米国とカナダとの間には乳製品分野や紛争解決方法などで「距離」があると指摘。「カナダは米国が重要だと考えている分野で譲歩する姿勢を見せていない。米国はメキシコのみと先に進む。カナダが現時点で共に進むのが最善だが、カナダが乗り遅れる場合はそれまでのことだ」と述べた。
その上で、「時間切れになりつつある」と付け加えた。
カナダのフリーランド外相の報道官は、同国は良い合意にのみ署名する考えだと強調。「われわれがこだわっているのは中身であり、期限ではない。カナダの国益に合致する合意をまとめるために引き続き交渉する」と語った。
メキシコ政府のエドアルド・サンチェス報道官は25日遅くにツイッターで、同国のペニャニエト大統領とカナダのトルドー首相が国連総会の合間に会談したことを明らかにした上で、「両首脳はNAFTA再交渉のプロセスについて意見を交わした」と説明した。
ライトハイザー、フリーランド両氏は国連の会議に出席するためニューヨークを訪れているが、当地で会談するかは不明。
米国の自動車メーカーや議会筋は、現状では米国とカナダが期限までに合意することは不可能と考えており、そうなれば米国はメキシコと2国間協定を締結することを決める可能性が高いと予想している。ただ、米国は期限となっている11月末にメキシコと新協定に署名するのを前に、カナダと再び相違点の解消を目指して協議するとの見方もある。
トランプ米政権はこれまで、メキシコで12月1日に政権交代が行われる前に現政権が新協定に署名できるよう、協定文書を今月30日までに作成する必要があると指摘している。
ライトハイザー氏の発言に先立ち、カナダのトルドー首相はニューヨークのイベントで、「(米国とメキシコ)は一定の合意に達した。2国の合意内容に基づいて前進することは可能」と述べた。
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