June 9, 2018 / 11:13 PM / 4 months ago

コラム:難航するNAFTA再交渉、選挙の波紋が新たな壁に

[ワシントン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 停滞したままの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に、また1つ障害が出現した。それは選挙だ。

 6月5日、停滞したままの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に、また1つ障害が出現した。それは選挙だ。写真は3月、メキシコシティで撮影(2018年 ロイター/Edgard Garrido)

カナダ国内で米国の鉄鋼輸入制限による打撃が最も大きいとみられるオンタリオ州で7日議会選挙が行われ、「カナダ第一主義」を掲げるダグ・フォード氏が州首相に就任する可能性がある。7月のメキシコ大統領選や11月の米連邦議会中間選挙でも、保護主義的な政治家が追い風を受けてもおかしくない。

NAFTA再交渉は既に難航している。米国が自動失効条項(サンセット条項)導入や自国産の自動車部品の調達比率引き上げなどを要求していることで、当初今年の5月に期限を設定していた協議は来年にずれ込むかもしれない。米政府が先週、カナダとメキシコに鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を適用したため、論争は一段と激しくなった。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は5日、FOXニュースのインタビューで、トランプ大統領がカナダ、メキシコそれぞれと二国間協定の締結を目指すかもしれないと語った。

米国の鉄鋼輸入制限は、オンタリオ州議会選挙におけるフォード氏の立場を強めるだろう。カナダ経済の中心である同州は、鉄鋼生産能力が国内の約70%を占め、過去5年で北米における自動車の15%を製造してきた。富豪でもあるフォード氏は、製造業の雇用を取り戻し、所得減税を実行すると約束している。もし同氏が勝利すれば、中央政府のトルドー首相に対する反対勢力の旗頭になってもおかしくない。オンタリオ州はこれまで15年間、トルドー氏が属する自由党が政権を握ってきた。

カリスマ性を駆使した有権者の支持獲得に失敗したトルドー氏は、報復的な通商措置を打ち出す方向に転じた。

カナダはメキシコとともに、米国の与党・共和党にとって政治的に重大な意味を持つ州を標的にした関税を提案している。その共和党は、下院で保有してきた過半数議席を中間選挙で失いかねない。

貿易はトランプ氏と野党・民主党が足並みをそろえられる数少ない分野の1つで、再交渉でNAFTA修正が合意されたとしても、中間選挙後の新議会による批准というハードルが待ち受ける。

メキシコ大統領選では、現行のNAFTAにずっと懐疑的だった候補者が支持率でトップに立っている。この大衆迎合主義者(ポピュリスト)の顔を持つ左派候補アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が当選すれば、貿易や国境問題でより自国第一主義的な姿勢を取るかもしれない。例えば同国がこれまで進めてきたエネルギー部門の対外開放に待ったをかけることが考えられる。

米国の輸入制限は、10月に予定されるカナダ・ケベック州議会選にも影響する可能性がある。同州では3万人がアルミ産業に従事している。

こうしたすべての状況からみて、NAFTA再交渉が円滑に終わるチャンスは過ぎ去った。新たな政治情勢の誕生で合意実現は一層難しくなる。

●背景となるニュース

・カナダ・オンタリオ州議会選挙が7日実施される。現在は進歩保守党を率いるダグ・フォード氏と、新民主党のアンドレア・ホワース氏が州首相の座を巡って激しく争っている状態。現職で自由党を率いるキャスリーン・ワイン氏は2日、勝利が見込めないと表明した。

・メキシコの地元紙が4日発表した大統領選の世論調査によると、左派候補のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏の支持率が、2位の候補の2倍近くと圧倒的に優勢だ。

・NAFTA再交渉はなお続いている。ただカドロー米国家経済会議(NEC)委員長は5日、FOXニュースのインタビューで、トランプ大統領がNAFTA再交渉よりもカナダ、メキシコそれぞれと二国間協定を結ぼうとするかもしれないと述べた。この報道後、メキシコペソは対ドルで下落した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

 6月5日、停滞したままの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に、また1つ障害が出現した。それは選挙だ。写真はメキシコシティで3月撮影(2018年 ロイター/Edgard Garrido)

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