[ブリュッセル 14日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、バイデン米大統領が出席する14日の首脳会議で温暖化対策への取り組みや中国の軍事的台頭への対応などで合意し、関係の仕切り直しを図ることに期待している。
NATOのストルテンベルグ事務総長は今回の首脳会議を「重要な転機」と位置付ける。NATOを「時代遅れ」などと批判したトランプ前大統領との緊迫した関係から一転し、新たなスタートを切りたい考えだ。
ジョンソン英首相はNATO首脳会議を前に「NATOは新たな課題に対応して脅威に立ち向かうべく、常に適応し発展する義務を負っている」との見解を示した。
外交筋によると、バイデン大統領とロシアのプーチン大統領との会談を控え、NATO首脳会議では西側諸国の分断を試みるロシアの取り組みが議題になる公算が大きい。
ロシアによる2014年のクリミア併合以降、NATOは防衛力の近代化を進めてきたが、サイバー攻撃や偽情報の拡散に対してはなお脆弱だ。ロシアはNATO加盟国の不安定化を試みる活動への関与を否定している。
外交筋によると、NATO首脳が最も期待しているのは、NATOの集団的自衛権にバイデン氏が米国として再びコミットすることだ。外交筋らは、17─19年の首脳会議ではトランプ氏の批判的な発言でNATOが危機に陥っているような印象が生まれたと指摘する。
今回の会議ではこのほか、中国とロシアの合同軍事演習を含め、大西洋での中国の軍事・経済的台頭を巡り各国首脳から強い意見が示される見込み。NATO軍で50年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すことも表明する見通し。
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