[東京 30日 ロイター] - NECの森田隆之社長は報道各社とのインタビューで、今月11日に成立した経済安全保障推進法について、国際的な協調関係が前提であり、機密情報の取り扱い資格制度「セキュリティ・クリアランス」の確立が必要になるとの考えを示した。
セキュリティ・クリアランスとは、安全保障に関わる機密などを取り扱う個人の適性を評価し、情報にアクセスできる資格を与える制度。人工知能(AI)やサイバーセキュリティなど先端技術の情報に触れる民間人を特定しておくことで、情報漏えいを防ごうというものだ。経済安保法の実効性を高めるために必要とされる一方、身辺調査もするため、個人情報保護の観点から慎重論も根強い。
森田社長は「今後の経済安全保障は、国際的な協調関係を前提にしないと成り立たない」と指摘し、米国との協調関係を考えると「当然ながら日本においても米国と同じレベルのセキュリティクリアランスが求められる」と述べた。その上で「国として(制度を)きちんと整えることによって、国際的な協調関係、共同開発が進むベースができる」との考えを示した。
NECはソナーなどの防衛装備品を手掛けており、防衛省からの受注額は昨年674億円。受注額ランキングで5位だった。
23日の日米首脳会談で連携を強化することが確認された半導体の確保については、「国際的な枠組みで、日本としての確保に対応することをサポートいただけると非常に有効だ」と語った。
NECでは、半導体などの部材供給不足により、昨年度は損益ベースで80億円の影響があったが、今年度は「極小化していける」見込みだという。
※インタビューは27日に実施しました。
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