January 22, 2020 / 1:37 AM / a month ago

コラム:ネットフリックス、特異な立場に基づく優位性に陰り

[ニューヨーク 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX.O)は、常識的なシナリオを打ち破る存在であり続けてきた。同社に限っては、メディア企業が一般的に縛られる評価尺度をほとんど用いる必要がないという点で、ライバルと異なる。その代わり投資家は同社の契約者や売上高の急増に注目。これが株価を押し上げる力になっていた。ただ21日に発表された第4・四半期の業績を見ると、ネットフリックスがこれまで享受していた優位性が脅かされていることが分かる。

ネットフリックスの株価は2015年初め以降5倍以上に膨らんだ。この間の上昇率はウォルト・ディズニー(DIS.N)やコムキャスト(CMCSA.O)、AT&T(T.N)を圧倒している。この3社が今、ネットフリックスに対抗すべく消費者への直接配信サービスを開始したか、あるいは導入を計画中だ。

リード・ヘースティングス最高経営責任者(CEO)が率いるネットフリックスは、幾つか重要な部分で特異な立ち位置にある。まず広告を集めるビジネスモデルではないため、視聴率を気にしなくても済む。これはコムキャストのNBCユニバーサルや、ディズニーのテレビおよびケーブル放送部門、AT&T傘下のターナーとは対照的だ。広告型放送では、視聴率が広告料や広告契約更新の際のスポンサーとの力関係を決める要素になる。

映画界では映画館での興行成績が偏執的なほど注目される。興行成績こそが作品の人気や生き残る力を証明するからだ。ところがネットフリックスにとってはこの指標も意味がない。同社の「アイリッシュマン」などの映画作品は、主としてオスカー賞ノミネート資格を得るためだけに劇場公開された。むしろ同社は、独自の人気作品リストを公表しており、昨年は「マーダー・ミステリー」が首位に輝いた。もっともランキングの基準は滑稽で、最低2分間視聴した世帯数に基づいている。

ネットフリックスの第4・四半期売上高は、かろうじてアナリスト予想を超えた。しかし事態が緊迫している兆しが他の面で見えてきた。例えば米国の契約者数は、値上げとライバルの新規参入などのために純増ペースが鈍っている。第2・四半期と第3・四半期に達成していた米国事業の業績の自社見通しも、第4・四半期は未達に終わった。

ライバルが割安なサービスを投入して競争圧力は強まっており、また手元現金の目減りを約10億ドル少なくするというヘースティングス氏の目標は実現が危うい。昨年は現金を33億ドルも消耗した。

今年の予想利益に基づくネットフリックスの株価収益率(PER)は60倍前後と、ディズニーやアップルの2倍以上だ。こうした割高感と同社固有のリスクが一体となって出現している形だ。

もしネットフリックスが支出を抑制できない、あるいは売上高の相当な伸びを維持できないとすれば、株主は同社株をはやして価格を押し上げたことを後悔するだろう。

●背景となるニュース

*ネットフリックスが21日発表した昨年第4・四半期の総売上高は前年同期比31%増の55億ドルだった。純利益は5億8700万ドル(1株当たり1.30ドル)。前年同期は1億3400万ドル(0.30ドル)。[nL4N29Q4O9]

*第4・四半期末の世界全体の契約者数は1億6700万人で、870万人の純増。リフィニティブがまとめたアナリストの純増幅の予想は760万人だった。

 1月21日、米動画配信サービス大手ネットフリックスは、常識的なシナリオを打ち破る存在であり続けてきた。パリで2014年9月撮影(2020年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

*ネットフリックスは、2020年オスカー賞ノミネート作品がマーティン・スコセッシ監督の「アイリッシュマン」など24本と、他のどの映画製作会社よりも多かった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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