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コラム:バーゼルIII決着、銀行に「痛み」少なく安全性強化
December 8, 2017 / 7:12 AM / 10 days ago

コラム:バーゼルIII決着、銀行に「痛み」少なく安全性強化

Christopher Thompson and Gina Chon

 12月7日、主要国の銀行規制当局は昨年、新しい銀行資本規制(バーゼルIII)が大幅な増資を必要とせずに銀行の安全性を高められるとの見方を示唆していた。そして最終合意した規制内容は、まさにその言葉通りだったことが分かった。英ロンドンの新金融街にあるHSBCとバークレイズのオフィス。11月撮影(2017年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン/ワシントン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 主要国の銀行規制当局は昨年、新しい銀行資本規制(バーゼルIII)が大幅な増資を必要とせずに銀行の安全性を高められるとの見方を示唆していた。そして7日に最終合意した規制内容は、まさにその言葉通りだったことが分かった。

バーゼルIIIの下で大手行の普通株等Tier1資本の不足額は276億ユーロと算定されており、一時懸念されていたよりもずっと少ない。銀行の将来の配当計画に不安を感じていた株主も胸をなで下ろすはずだ。

大きな変化はいわゆる「資本フロア」に関連した分野で起きた。バーゼルIIIでは、銀行の内部モデルで測定するリスク性資産の評価額が、当局の採用する標準的な評価の72.5%を下回らないことが定められた。この水準を巡ってはさんざん交渉が重ねられ、特にフランスの銀行は標準的な測定方法が住宅ローンのような資産の各国ごとのリスク性の差を無視していると主張していた。ただし新ルールが拘束力を持つのは2027年以降になる。

銀行の資本不足額は、バーゼル銀行監督委員会の調査では2015年下半期の合算利益の14%にすぎない。これは約2年前のデータであり、今の資本不足がさらに小さくなっているのはほぼ確実だ。その結果、欧州勢の普通株等Tier1資本比率は上昇し、多くの銀行は増資に動かなくて良いことを意味する。

妥協によって、より厳しい基準を要求していた米国の規制当局も何とか満足させられた。新しい資本フロアは、米銀と海外の銀行の公平な競争条件を整える上でプラスに働く。欧州の金融機関にしてみれば、今後米当局からもっとルールを厳しくしろとつつかれる心配をする理由は少なくなる。

一方でバーゼル委員会は、国債に関する重要な問題には取り組まなかった。国債の標準的なリスクウエートを高めるのを見送ったことで、銀行と政府の「負の連鎖」が断ち切られると期待していた向きは、幻滅するだろう。また欧州周縁国など国債保有比率が高い銀行は、これからも暗黙の形での政府保証を享受できる。

それでも株主にとって、とりわけ欧州ではおおむね良い方向に作用する規制改革になった。どれだけ資本が充足されているかを明確にしたため、株主は銀行が資本として保有している中から配当に回せる規模をより適切に把握できる。

銀行セクターは幾分高い安全性と透明性を確保した半面、嘆くような要素はほとんど見当たらない。

●背景となるニュース

*主要国の金融規制当局は7日、最低自己資本比率計算に必要なリスク性資産の評価に関する新ルールを最終承認した。

*バーゼル銀行監督委員会によると、いわゆる資本フロアを72.5%とするルールが2027年1月から実施される。銀行の内部モデルによるリスク性資産の評価額が、当局が採用する標準的な評価の72.5%を下回ってはならないことを意味する。

*米国は資本フロアを75%にするよう求め、欧州諸国は70%を希望。バーゼル委員会は当初90%まで高める提案をしていた。

*バーゼル委員会は、銀行の国債保有に関する規制は変更しないと説明した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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