[カルガリー(加アルバータ州) 12日 ロイター] - 米ニューヨーク州の公的年金基金「ニューヨーク州退職年金基金(NCRF)」は、カナダで操業しているオイルサンド(油砂)企業6社に対し、低炭素社会への転換に前向きではないとして投資を制限する方針を示した。NCRFの監査担当者トーマス・ディナポリ氏によると、計700万ドル超の6社の株式を売却するとともに、今後は投資を停止する。
対象の6社はインペリアル・オイル、カナディアン・ナチュラル・リソーシズ、MEGエナジー、アサバスカ・オイル、石油資源開発、セノバス・エナジー。
カナダのオイルサンド層の原油埋蔵量は世界3位の規模で、原油生産におけるバレル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が最も多い原油の一つ。掘削したオイルサンドからタール状のビチューメンを抽出する過程でCO2が大量に排出されるためだ。
気候変動対策を重視する投資家は資源会社に対し、温室効果ガスの排出量を削減しなければ投資を引き揚げると圧力を強めている。
NCRFは昨年12月、2040年までに投資対象のCO2排出量を実質ゼロにすることを目指し、気候変動問題に貢献する立場を打ち出した。
ディナポリ氏は12日付の文書で「オイルサンド企業について慎重に見直した結果、低炭素社会への有効策を持たない企業への投資を制限することにした」と説明。「温室効果ガスを大量に排出する企業は投資家にとって重大なリスクだ」と指摘した。
NCRFは米3位の年金ファンドで、資産評価額は約2480億ドル。
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