[シドニー 21日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)中銀の動きが市場に混乱を呼んでいる。ほぼゼロのインフレ率を押し上げようとする一方、超低金利を背景に高騰する住宅市場の鎮静化に躍起になる姿勢に市場が振り回されている。
始まりは7日のスペンサー副総裁の発言。「住宅市場のリスク」について講演し、中銀がタカ派姿勢に転じ金利を据え置くとの意図しないメッセージを発する結果となった。
市場では8月の利下げ観測が後退し、NZドルNZD=D4は急伸した。
その後中銀は、8月11日の金融政策会合前に経済報告を発表すると表明。異例の動きで市場の混乱に拍車がかかった。
事態はこれでおさまらず、加熱する住宅市場対策として新たに「マクロ・プルーデンスな」規則を発表して市場を驚かせた。
TDセキュリティーズのアジア太平洋担当のチーフストラテジスト、アネット・ビーチャー氏は「7日の副総裁の講演以来、フォワードガイダンスに関する中銀の手当たり次第のアプローチは受け入れられていない」と指摘した。
2週間たった今、今度は追加利下げが必要になる可能性を示唆し、完全な修正モードとなっている。
NZドルは過去約6週間での最安値となる0.6952米ドルに下落。7営業日での下落率は5%に及んでいる。
HSBCのチーフエコノミスト、ポール・ブロクサム氏は、中銀の発するメッセージはやや難解としながら、同情的な見方も示した。
「中銀は板挟み状態」として、金融安定に懸念を生じさせる住宅市場の高騰と、目標を下回るインフレ率を指摘。その上で「金融政策の決定にかなり難しい局面であるからこそ、対話が難しくなっている」と分析した。
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