[東京 25日 ロイター]主要企業が2016年の剰余金の使い道として、国内の設備投資、合併・買収(M&A)を重視していることがわかった。 - 15年は株主還元が断トツのトップだったが、企業が今後の成長や需給拡大などを意識して資金を使う姿勢が裏付けられた。
ロイターが実施したアンケートでわかった。
剰余金を国内設備投資に使うと回答したのは、NTT9432.T、味の素 2802.T、旭化成3407.Tなど計21社。
使い道の2位に挙がったのはM&A。成長のための経営ツールとして、M&Aが日本企業に定着したのを裏付ける。
トムソン・ロイターによると、2015年の日本企業によるM&Aは、2000年以降で最高水準となる21兆円超。特に海外M&Aは11兆円超(701件)で金額、件数ともに過去最高を更新し、成長のための新たな商圏を海外に求める姿が鮮明に表れた。
21日に米業務用冷凍冷蔵庫メーカー、ハスマンの買収で合意したパナソニック6752.Tは、今回の調査でもM&Aを選択したほか、国内設備投資とその他(研究開発の強化)と回答。任天堂7974.Tは国内の設備投資とM&Aを挙げた。
株主還元と答えた企業も17社と多かった。コーポレート・ガバナンス・コードの導入で、株主対応が意識されていることがうかがえる。
反面、非正規労働者の時給アップなど待遇改善を実施すると答えた企業はゼロだった。安倍晋三政権が目指す国内経済の成長には、個人消費の改善がカギを握るが、非正規労働者にそうした好循環が浸透するには時間がかかりそうだ。正社員への賃上げと回答した企業も、三菱ケミカルホールディングス4188.T、セブン&アイ・ホールディングス3382.Tなど6社にとどまった。
アンケートは50の主要企業を対象に実施し、36社から回答を得た。剰余金の使い道として、1)賃上げ(社員への還元)、2)パートタイマーの処遇改善、3)株主還元(増配・自己株取得)、4)国内設備投資、5)海外設備投資、6)M&A、7)その他──から3つ選択するよう回答を求めた。
剰余金の使い道 件数
1) 賃上げ(社員への還元) 7
2) パートタイマーの待遇改善(時給UP) 0
3) 株主還元(増配・自己株取得) 17
4) 国内設備投資 21
5) 海外設備投資 15
6) M&A 19
7) その他
有利子負債の削減 2
新製品や技術の研究開発 9
内部留保 2
(以下は2014年12月実施の調査結果)
剰余金の使い道 件数
1) 賃上げ 6
2) 株主還元(増配・自己株取得) 34
3) 国内設備投資 18
4) 海外設備投資 10
5) 企業買収 8
6) 内部留保 8
7) その他 14
(その他のうち: 研究開発) 6
企業・金融チーム 編集:宮崎大
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