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コラム

コラム:新潟知事選、国内政局のリトマス試験紙に

[東京 8日 ロイター] - 10日投開票の新潟県知事選は、国内政局のリトマス試験紙的な存在として注目するべきだ。与党系候補が勝利すれば、森友・加計問題で批判されてきた安倍晋三首相にとって、自民党総裁選での3選というゴールテープが見えてくるだろう。

 6月8日、10日投開票の新潟県知事選は、国内政局のリトマス試験紙的な存在として注目するべきだ。安倍首相、自民党本部で3月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

他方、野党系候補が当選すれば、来年夏の参院選を意識した自民党内の声が噴出して、「安倍批判」が強まりかねない。

新潟県知事選が注目される背景として、1)森友・加計問題の影響が投票行動にどのように影響するのか、2)参院選の1人区での戦いを予想できる、3)選挙結果で総裁選を控える自民党内の世論が変動する可能性がある──ということがある。

学校法人・森友学園と加計学園を巡る問題では、野党側が安倍首相らの政治責任を長期間にわたって追及してきた。ただ、内閣支持率は30%台を底に低下に歯止めがかかっているようにみえる。

ただ、不支持率が50%を超える世論調査が多く、支持率と不支持率の逆転が継続している状況で、与野党対決型の知事選でどのような投票行動を有権者が取るのか、永田町間関係者の間で特に注目度が高くなっている。

事前の世論調査では、接戦が続いているとの結果が多い。2017年の衆院選における新潟県での比例区の得票をみると、自民、公明両党は54万票あまり、立憲民主、希望(当時)、共産、社民の合計獲得票は40万票あまりで各政党の「実力」をそのまま足し合わせると与党系が有利。

ただ、原発問題を抱える新潟県では、政党同士の選挙結果がそのまま反映されない要素もある。

仮に与党系が当選すれば、自民党内で安倍首相を支持する動きに広がりが出てくると予想される。細田派、麻生派、二階派の主流3派の結束力が高まって、議員票における安倍首相有利の構図が、鮮明になる展開が予想される。

一方、僅差でも野党系が当選した場合、自民党内に来年の参院選での苦戦を予想する見方が広がり、総裁選の展望が混沌とする可能性も出てくるのではないか。

参院選は、選挙区と比例区の合計の議員数で勝敗を競うが、47都道府県の選挙区のうち、定員1の「1人区」は32選挙区に及び、ここでの当選議員の優劣が参院選全体の動向を大きく左右する。

新潟県は1人区であり、来年の参院選での選挙区における票の出方をシミュレーションする際に、今回の知事選の票の出方は、大きな参考になるというのが選挙の「プロ」の見方のようだ。

現在のように巨大与党が存在する国会では、野党の存在感が薄くなっているのは否定できない事実だ。したがって安倍政権の今後を展望する際に最も重要なのは、自民党内の勢力関係であり、大きな選挙の後の党内世論の動向が最も重要になってくる。

主要7カ国(G7)首脳会議を終えた安倍首相も、政府専用機の中で新潟県知事選の結果を1秒でも早く知りたいと思うことになるのではないか。

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