[東京 9日 ロイター] - 日経平均.N225は1200円を超す下落となり、2万円を大きく割り込んだ。新型コロナウイルスの影響による景気悪化懸念に、原油価格急落に端を発した信用不安の高まりも加わり、相場環境は一段と悪化している。市場では、2015─2016年に起きたチャイナショック並みの調整が起きるとの見方も出ている。
きょうの相場について「新型ウイルスだけが材料だったら、日経平均は2万円を割り込むことはなかった」(国内証券)とみる関係者が多い。ウイルス感染者の広がりはとどまるところを知らず、世界的な景気悪化の懸念が一段と広がる中、突如、市場を襲ったのが原油価格の急落だ。
原油価格の急落は、サウジアラビアが原油の大幅増産計画を打ち出したことが引き金。「株価は新型コロナウイルスの感染拡大とは別の次元から切り込んできた話によって想定外の下げ方をしている」(大和証券・チーフグローバルストラテジストの 壁谷洋和氏)との声が出るなど、市場は困惑しきりだ。壁谷氏は「クレジットリスクも意識されやすくなり、米ハイイールド債の崩壊からくる金融市場の混乱も警戒される」と指摘する。
原油価格の下落は、非鉄金属や鉄鉱石など他の商品にも波及するのは必至だ。「脆弱な資源国、新興国から投資マネーの逆流が起きる」(三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則広氏)恐れも強まる。
TOPIXは、下値の目安となるPBR(株価純資産倍率)1倍の1390ポイント前後をすでに下回っている。売られ過ぎとの見方もあるが、市場ではチャイナショック時の下げ相場が、今後を占う上での参考になると指摘が出ている。
15─16年のチャイナショック時は、WTI先物が1バレル=62.58ドルから26.05ドルまで半値以下に下落した。現在と同様、円高が急速に進む中で、日経平均は15年8月高値2万0946円93銭から翌2月安値1万4865円77銭まで率にして29%の下落を記録している。
「信用不安の高まりを考えれば、今回も3割程度の調整はあっても不思議ではない」(三菱UFJMS証券の藤戸氏)という。
「3割高下に向かえ」という相場格言があるが、今回、日経平均では1万6800円前後になる。ただ、急落後の自律反発の可能性もあるものの「いったんこうしたセンチメントが強まると、何が下値を支えるきっかけとなり得るのか見出しづらい。しばらく不安定な相場が続きそうだ」(大和証券の壁谷氏)との声も聞かれている。
グラフ作成・編集:田中志保
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