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日経平均が一時700円安:識者はこうみる

[東京 9日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均株価は一時前日比700円を超す下げを見せ、6月21日以来の2万8000円割れとなった。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気回復の遅れが懸念され、景気敏感株を中心に幅広い売りが出た。

 7月9日、東京株式市場で日経平均株価は一時前日比700円を超す下げを見せ、6月21日以来の2万8000円割れとなった。都内で2019年撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

市場関係者の見方は以下のとおり。

●ワクチン相場崩れる、政治リスクも下げ要因

<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘氏>

マーケットにとっての最大の誤算はデルタ株のまん延と言えるだろう。これによって、ワクチン接種によりコロナ禍が収まり一気に経済が正常化することを期待して買い進んできたワクチン相場が崩れた。さらに、日本株にとっては政治リスクも下げの要因として加えることができる。

ワクチンを2回接種した人の割合が6割となっている英国では、1日あたり感染者数が6万人から1000人まで急減していたのが3万人超まで再拡大し、ワクチンの効果が万全でないことを示された。また、イスラエルの保健省がコロナワクチンの発症予防効果が5月の約94%から約64%に低下したと発表したことで、市場ではデルタ株の広がりから景気回復が遅れるとの懸念が広がっている。昨日の米国株式市場の下落は、それを象徴したと言えるのではないか。

一方、日本株については、ただでさえ景況感格差で欧米に比べて回復が遅れているところに、秋までに必ず行われる総選挙での与党敗北の懸念が株価を重くする要因として加わる。昨年までの安倍政権下では、政権基盤が強固なため主要国で唯一の政治リスクがゼロの国とも言えたが、コロナ禍対応のつまづきなどで都議選も含め与党の選挙結果が芳しくなく、菅政権の向心力低下が読める状況だ。政治リスクは海外投資家が最も嫌うところであり、経済正常化の遅れと政治リスクで日本株は当面、厳しい動きが想定される。

ただ、日経平均株価の2万7500円台の時価水準は、PER12倍台で日本株が割安であるのも確か。5月にこの水準まで下げた際には国内年金とみられる買いが入っていた経緯もあり、バリュエーションが株価を下支えする可能性もある。

●米国株式の好需給一巡に懸念

<大和証券 チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏>

環境面の悪化もさることながら、ここにきて米国株式の好需給が一巡したことが懸念されており、これが日本株にも影響する可能性がある。

6月までは失業保険の上乗せ、期間が延長されていた税還付などによって米株市場に向かう資金が潤沢な状況で、主要指数を押し上げる要因になったとみられるが、それが一巡して需給面から米株の上昇が見込めなくなる。米株の上昇による日本株の下支えは期待しにくい。

一方、日本株単独の要因としては、昨日の約3000億円に続いてETFの分配に伴う換金売りが約5000億円出るとみられ、きょうの大幅安はやむを得ない。ただ、来週にはこれが一巡する上、日本株は緊急事態宣言発令後は買い場となった経験則もあり、厳しい需給環境にあるきょうを乗り切れば、来週は自律反発が見込めそうだ。

さらに、中国では預金準備率の引き下げが提案されたが、引き下げの前後では日本株が米株をアウトパフォームすることが多かったこれまでの経緯にも注目したい。

●高値警戒感映す米株安、経済鈍化など口実に

<三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

足元の米金融相場は、株価と金利が下がり、教科書どおりのリスクオフとなった。ただ、米国の主要株価指数はこのところ、最高値を更新して高値圏にあっただけに、いまのところは高値警戒感からの利益確定売りの範疇だろう。

デルタ株による感染拡大の警戒感は今に始まったことではない。ワクチン接種が広がったことで重症化リスクは抑制されているとの報道もある。米中摩擦も、個別企業を除けば、相場全体に影響するほど警戒されているわけではない。米中で弱めの経済指標がやや続いたことも口実になったようだが、見極めにはまだ早いだろう。

7月末にかけて日経平均は、2万7000円から2万8400円で推移するとみている。もともと材料待ちの地合いだっただけに、持ち直しは緩慢になるかもしれない。今後は経済指標の強さを一つずつ確認していくことになる。日米で企業決算を控えており、どの程度、業績見通しの明るさが確認できるかが手掛かりになりそうだ。

●本質は中国問題か、IT大手締め付けで

   <アイザワ証券 市場情報部長 坂瀬 勝義氏>

新型コロナウイルス変異株の感染拡大、東京都での4度目の緊急事態宣言、パンデミックの中での五輪開催の強行など、売り材料はいろいろあるが、本質的には中国問題があるのではないか。

中国政府は自国のIT企業の締め付けを強めており、独占禁止法に抵触するとの理由で滴滴出行(ディディ)やアリババなどに対し相次いで罰金を科している。これを受けて8日の米国株式市場は中国企業が軒並み大幅安。米市場でのIPOを計画していた中国企業もいったん見送る事態となっている。

今後も中国政府が強硬姿勢に出るとなると、サプライチェーン上で関係を持つ半導体などの日本や台湾企業にとって痛手となる。まだ推測の域を出ないところもあるが、緊張感が徐々に強まってきているのは否めない。分からないので売れるもの売ろうという動きになっており、直近で株価パフォーマンスが良かった銘柄は利食いで売られる展開となっている。

テクニカル的には、きょうの日経平均の終値が200日移動平均線を割り込むかに注目している。200日線という節目を割り込むと、いわゆる「ベア感」が台頭し、地合いが弱くなる可能性がある。

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