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原油下落や地震影響で株安円高が進行:識者はこうみる

[東京 18日 ロイター] - 18日の東京市場では、株安・円高が進んでいる。日経平均.N225は一時500円を超す下落となり、ドル/円JPY=EBSも108円を割り込む場面があった。

 4月18日、東京市場では、株安・円高が進んでいる。日経平均は一時500円を超す下落となり、ドル/円も108円を割り込む場面があった。写真は2011年撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

熊本地震で自動車・電機などの生産が大きな打撃を受けているほか、20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議後の日米間の為替認識をめぐる差異、原油増産回避の合意ができなかったことなど複数の要因が重なって、大きな市場変動となっている。識者の見解は以下のとおり。

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

産油国の増産凍結見送りはネガティブサプライズとなった。今回の会合自体、延期された上で開かれた経緯があったため、ある程度の根回しが進んでいるとの期待があった。サウジアラビアとロシアが合意したとの事前報道も市場の期待を高めていた。

原油はバレル当たり30ドル付近まで下落するリスクがあり、世界経済の下振れリスクが高まった。目先のドル/円は原油相場にらみとなりそうだ。円は上値を試す展開になりやすい。G20で米国が円相場は秩序的だとして、日本の当局による為替介入を容認しないスタンスを示唆した直後でもあり、投機的な円買いが進む可能性がある。

産油国間の溝の深さ確認された。サウジがイラン不参加に拒否反応を示したのは、原油安という経済問題より、積年の地政学的問題から政敵に塩を送るわけにはいかないということの方が大きいということだろう。

原油が下げ止まらなければリスク回避の円買いが進んで、ドル/円は年初来安値107.63円の下抜けもあり得る。介入はやりにくくなったものの、金融緩和は否定されていないだろう。円高が進むなら、追加緩和への思惑が高まりそうだ。

<SMBC信託銀行プレスティア シニアFXマーケットアナリスト 尾河眞樹氏>

この週末は、G20での円高修正への期待と、産油国による増産凍結合意への期待が、相次いで裏切られた。一方、国内では熊本地震が発生し、製造業への影響も懸念される。3つの要素が重なって、ドル/円は下押しされやすい地合いとなっている。

リスク回避ムードの中で投機筋の円買いに火がつけば、じわりと円高になり得る。年初来安値107.63円を割り込めば、105円の大台試しもあり得る。6月末までのドル/円レンジは105─114円とみている。

109円割れの水準は、日銀の14年10月追加緩和の前の水準に逆戻りとなり、アベノミクスへの懐疑的な見方が広がりやすい。日本サイドでは夏の参院選を前に、大規模な財政出動や、日銀の追加緩和への期待がドル/円の下支えになるだろう。

米国による円安けん制は非常にタイミングが悪かった。市場では、もともと円売り介入はできないとの見方が出ていたため、米国のけん制で一方的な円高が進むとは想定していない。ただ、原油安が米株式相場の押し下げにつながれば、リスクオフが強まりかねない。

結局、ドルは米国が利上げしないと上昇しない。米1─3月GDPが来週末に発表されるが、弱い結果が予想されており、利上げ観測は高まりにくい。市場の思惑が後退する中で急激な利上げは長期金利を押し上げてしまうため6月も想定しにくく、次の利上げは9月との見方にもなり得る。ドル/円の早期の反転上昇は難しそうだ。

<シティグループ証券 チーフFXストラテジスト 高島修氏>

ドル/円は直近安値107.63円を割り込みかねない情勢となってきた。2、3日中に107円前後、1、2週間では2014年12月以降形成したヘッド・アンド・ショルダー完成の下値めど105円前後が警戒される。

ドル/円の方向性は、原油や米株式、ブラジルなど海外の各市場が大崩れしないかどうか、海外市場の動向を受けて日本株がどのように反応するかを見極める必要がある。特に原油価格は50─60ドル台まで回復できるかが重要とみているが、今回のドーハの産油国会議で増産凍結に失敗したことはマイナス要因となる。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、前回上海会合の基本スタンスを踏襲。麻生太郎財務相と会談した米国のルー財務長官は日本の通貨政策へのけん制ともとれる発言を行った。通貨政策面での失望は、原油安再開に伴うリスク回避の再発懸念と合わせて潜在的な円高要因となる。

熊本を中心に発生した大地震については、外為市場に対して短期的に影響はないとみている。

<SMBCフレンド証券 チーフストラテジスト 松野利彦氏>

為替が1ドル=107円台に差し掛かれば、日経平均が1万6000円を割れるのも致し方ない。G20で日本の当局による介入は困難になった。場合によっては105円台を目指す可能性もあるが、円買いポジションも相当積み上がっている。週後半は円高方向に進みづらくなるのではないか。

また熊本地震によるサプライチェーンの寸断は、回復が期待されていた4─6月の国内経済に対する下押し圧力となる可能性があり、懸念材料となっている。ドーハの産油国会合では増産凍結が合意に至らなかったが、そもそも合意できるか不透明な部分もあった。原油相場でも投機筋の買いポジションが膨らんでおり、利食いの動きが出やすい。

もっとも、当局による為替介入が難しくなったとしても、日銀の追加緩和は可能だ。地震の影響で、もたつく国内景気がさらに押し下げられるという話になるのであれば、日銀にとっても追加緩和の大義名分がそろうこととなる。ただ中身次第の面もある。市場の期待以上のものが出せるかがカギとなりそうだ。

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

日本株は当面、下値模索の展開を余儀なくされそうだ。ドーハでの増産凍結見送りは本質的に何も変わらず、短期的なポジション変動による影響が出た程度だが、G20では改めて通貨安競争に釘を刺され、米大統領選までは各国中銀が動きにくい状況となった。円高に進んでも日銀による為替介入などは期待しづらく、円高に伴う国内企業業績への不安感が株価を押し下げるだろう。

熊本地震に関しては、局所的であり、国内企業のサプライチェーンや生産活動などへの影響は東日本大震災ほどではなく、熊本地震による株安はさほど進まないとみている。財政政策は期待されるが、本格的な経済対策というよりも復興がメーンになりそうで、国内景気への効果が期待しづらい。規模も東日本大震災後の20兆円規模には至らないだろう。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

今回の日米財務相会談や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、ドル/円相場に対する日米の認識の隔たりを浮き彫りにした。

G20会議後の記者会見で、米国のルー財務長官は「最近は円高が進んでいるが、為替市場は引き続き秩序立っている」と述べ、最近の円高に強い懸念を示し「過度で無秩序」とする麻生財務大臣をはじめ日本当局とは主張がかみ合わなかった。

通貨安競争の回避が念押しされ、日本の通貨当局による介入警戒感は相当薄れることになった。

米国は、第2次安倍政権発足から昨年半ばまで約40円の円安を黙認してきた。これは他国に比べて相対的に強かった米経済を前提に成り立ってきた寛容さである。

しかし、米経済は目下、消費も生産も精彩を欠き、利上げもままならず、グローバルな景気減速にサヤ寄せする状況にある。米経済が直面する厳しい現実に鑑みれば、これまでドル高の恩恵に浴してきた日欧に金融政策以外で一段の政策努力を促すのは自然な流れだろう。

米国は実際、一連の会議で日本に対して財政政策と構造改革の重要性を主張している。日本が米国に対してこれまでと同様の寛容さを期待できる状況ではない。

デフレ脱却という結果が出ていない以上、2012年末からの円安幅の少なくとも半分を失うとして当面の下値目途は105円となる。ただ、その後もドル安トレンドの反転は見込みにくい。

*内容を追加します。

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