[大阪 30日 ロイター] - 任天堂7974.Tは30日、2018年3月期の業績予想を上方修正した。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が好調に推移していることを反映させた。スイッチは品薄状態が続いているが、ここにきて増産体制が整った。
年間最大の商戦期である年末商戦への期待が高まりそうだ。
売上高予想は前年比96.3%増の9600億円(従来予想7500億円)に、営業利益予想は同4.0倍の1200億円(同650億円)に、それぞれ引き上げた。
スイッチの販売が好調で、通期のハード販売計画を1000万台から1400万台に上方修正。ソフト販売計画も3500万本から5000万本に引き上げた。
売上高は9期ぶりの増収、営業利益は2011年3月期に計上した1710億円以来の高水準を見込んでいる。
ただ、会見した君島達己社長は「1400万台は決してやさしい数字ではない」と指摘。業績についても「もっと上方修正できると楽観はしていない」と述べ、慎重姿勢を崩さなかった。
トムソン・ロイターが調べたアナリスト22人の営業利益予想の平均値は1335億円で、会社予想はこれを下回っている。
前提となる為替レートはドルは105円で据え置く一方、ユーロは125円(従来115円)に修正した。
4─9月期の売上高は前年比2.7倍の3740億円だった。スイッチ関連の売上高は2457億円と、全体の65%超を稼ぎ出した。スマートフォン向けゲームなどの「スマートデバイス・IP(知的財産)関連収入」も前年比5.2倍の179億円と順調に拡大している。
4─9月期のスイッチの販売台数は489万台、3月3日の発売からの累計販売台数は763万台にのぼった。
スイッチのソフト販売は2202万本だった。7月に発売した『スプラトゥーン2』が好調だったほか、『マリオカート8 デラックス』も引き続き堅調に推移した。
君島社長は「(年末の)ホリデーシーズンは1年の半分くらいの売り上げが計上される。ここは何としてもお客様に商品をお届けできるようにしなければならず、その体制は整えた」と述べ、年末商戦に向け増産体制を整えたことを明らかにした。
任天堂の株価はスイッチへの期待感から9月に2008年10月以来約9年ぶりに4万円台を回復。その後、4万5300円まで上昇したが、現在は上げ一服となっている。
君島社長は来期も「スイッチを使って新しい体験ができるようなことを考えている」と語ったが、詳細についての言及は避けた。
*内容を追加します。
志田義寧
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