[東京 7日 ロイター] - 任天堂は7日、2023年3月期通期の連結業績予想を下方修正し、営業利益を従来の5000億円から前年比19%減の4800億円に引き下げた。ゲーム機やソフトの販売減を織り込んだ。
IBESがまとめたアナリスト21人のコンセンサス予想5817億円を大幅に下回った。
家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売計画は1900万台から1800万台に、ソフトの販売計画は2億1000万本から2億0500万本に下方修正した。通期の前提為替レートは1ドル=135円から125円に見直した。
期末配当予想も1株当たり109円から96円に引き下げた。
会見した古川俊太郎社長は22年の年末商戦について「過去2年間のような大きな販売には至らず、期待に届かなかった」と明らかにした。インフレによる消費行動の変化、リオープン(経済活動の再開)による娯楽の選択肢の多様化などの外部環境の変化が要因だとした。
スイッチの累計販売台数は1億2255万台と旧世代機の「ニンテンドーDS」に次ぐ歴代2位となるほか、今年の3月で発売開始から7年目に突入する。古川社長はスイッチについて、ゲーム専用機ビジネスの歴史上「未知の領域に入ってきた」と述べるとともに「この段階から前年を超えるように伸ばしていくのは難しい」との認識も示した。
期待が高まる次世代ゲーム機へのコメントは控えた。引き続きソフトのラインアップを充実させてスイッチの新規購入や複数台購入の需要に応えていくと述べ、「ビジネス全体で見ればまだまだこれからも活性化できる」と語った。値上げはソフト、ハードいずれにおいても考えていないとした。
賃上げについては全社員の基本給を10%増額するとともに、新入社員の初任給についても約10%引き上げると明らかにした。
併せて発表した22年4─12月期の連結業績は、営業利益が前年同期比13.1%減の4105億円だった。ハードにおいて利益率の低い有機ELモデルの販売割合が増加したことや、半導体部品不足による部材コストの上昇、為替の円安などが響いた。スイッチの販売台数は1491万台(前年同期は1895万台)だった。
(佐古田麻優 編集:青山敦子)
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」