August 28, 2019 / 5:27 PM / in 22 days

インタビュー:鋼材価格引き上げや資産売却を推進、懸念は円高=日本製鉄副社長

[東京 29日 ロイター] - 日本製鉄(5401.T)の宮本勝弘副社長はロイターとのインタビューで、鋼材価格の引き上げや経済性のある生産にとどめる「経済生産」などで収益改善を図る考えを示した。また、持ち合い株などの売却による資産圧縮や生産の効率化も進める方針だ。米中貿易摩擦の長期化などで世界経済は減速、鋼材需要にも陰りが出るなど厳しい環境に直面するなか、為替が円高基調にあることも懸念材料として挙げた。

8月26日、日本製鉄の宮本勝弘副社長はロイターとのインタビューで、鋼材価格の引き上げや経済性のある生産にとどめる「経済生産」などで収益改善を図る考えを示した。写真は3月18日、東京本社で(2019年 ロイター/Yuka Obayashi)

同社は今月1日、これまで未定としていた2020年3月期の業績予想を発表した。本業のもうけを示す連結事業利益(国際会計基準)は1500億円で前年比55%減の見通しとなった。中国インフラ投資により原料市況高となる一方で、米中貿易摩擦の長期化による世界経済の減速やそれに伴う鋼材の需要減少懸念が強まっており、鉄鋼メーカーを取り巻く環境は厳しくなっている。

宮本副社長は、今期の一番の課題は「価格改善だ」と述べた。

共同通信によると、トヨタ自動車(7203.T)と鉄鋼大手は19年度上半期の自動車用鋼板価格を18年度下半期から引き上げることで大筋で合意した。鋼板価格の引き上げは16年度下半期以来、2年半ぶり。上げ幅は1トン当たり数千円規模とみられるという。宮本副社長は具体的な値上げ幅については言及を控えたが、今回の値上げだけでは十分ではないとの見方を示し、「今後とも引き続き、段階的にお願いしていく。不断にやり続ける」と述べた。

また、生産能力をフルに使う状態から「経済生産」に舵(かじ)を切る。「この数年は需要が強く、作ればそれなりの値段で売れる時代だった。しかし、需要が落ちる中で、経済性のあるところまでの生産にとどめる」と述べた。

需要の変化は海外が顕著で、先行き一段と落ちる懸念もあると話す。「海外への直接輸出もあれば、国内の顧客に出して、それが海外に出て行く間接輸出の両方で効いている」という。

中国では、高水準のインフラ投資を反映して粗鋼生産も高いレベルにあり、これが鉄鉱石市況の高騰につながっている。足元で鉄鉱石価格SH-CCN-IRNOR62は軟化しているが、宮本副社長は、中国のインフラ需要は政府の経済対策により下期も堅調な状態が続くとの見通しを示した。こうしたなか、自動車などに使われる鋼板の需要は強くないため、これがアジア市場に出てくることを懸念しているという。

さらには、円高も懸念材料となっている。「フローの損益だけでは円高はプラスに働くが、顧客の競争力やストックへの影響などが出てくるため、為替は気になるところだ」と述べた。

中長期的な成長に向けては、国内設備の統廃合やIT(情報技術)の活用により生産の効率化を進める。

また、財務の健全性を維持するため、2021年3月までに持ち合い株や土地などの資産を売却して2000億円を生み出す計画。こうした資金は、インドのエッサール・スチールなどの海外企業の買収と国内工場の設備投資に使うとしている。

宮本副社長によると、全輸出の約10%を韓国向けが占めているが、今のところ、日韓関係の悪化の影響は出ていないという。

*インタビューは26日に行いました。

大林優香 清水律子

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