[東京 9日 ロイター] - 日産自動車の内田誠社長は9日、2023年3月期決算会見で、連合(アライアンス)を組む仏ルノーの内燃機関車・電気自動車(EV)各部門の新会社への参画を検討する協議で知的財産が論点になっていることについて問われ、「ビジネスのコモンセンス(常識)として普通に論議するもの」とし、常識を持ちながらしっかり話をすると述べた。具体的な協議内容の公表には「もう少し時間をいただきたい」と話した。
内田社長は、新たなパートナーとビジネスを進める交渉で、それぞれの会社が何を価値として何を強みとするのか、関連知財をどういう形で扱うのかを論議することは「当然の話だ」と指摘。両社間で「知財に関する見解が違うということはない」と語った。
ルノーは8日の投資家向け説明会で、米グーグルと提携して車載用基盤ソフトなどを共同開発すること、計画中のEV新会社に米半導体大手クアルコムが出資して車載システムを共同開発することなどを発表した。
このようなルノーの動きについても内田社長は、サービスの多様化や車両の電動化など各国のスピードが異なり、顧客の受け入れ方も変わっていく中で「パートナーとの協業は自然な流れと受け止めている」と説明。日産がどう関わるかはメリットを吟味しながら協議していくとした。
これまで長い時間をかけて築いてきた実績と信頼関係のもと、両社は「どのようなアライアンスの姿が各社に、より大きなベネフィット(利益)をもたらすことができるのか、現在オープンで建設的な議論を重ねている」と繰り返した。「結論が出た際には皆さんにしっかり説明する機会を設けたい」とも述べた。
日産とルノーは現在、アライアンスの強化と将来に向けて協議中。日産はルノーのEV新会社への出資を検討しており、併せて、両社間の出資関係も見直す方向で議論を進めている。複数の関係者によると、ルノーは日産への出資比率を現在の43%から最終的に15%へ引き下げる代わりに、EV新会社への出資と参画を日産に求めている。
ルノーは2023年のEV新会社上場を目指している。
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