March 8, 2018 / 7:39 AM / 6 months ago

焦点:北朝鮮の対話姿勢、核開発の「隠れみの」か

[ワシントン 7日 ロイター] - 米国との対話姿勢を示した北朝鮮。だが、米当局者と専門家らは、北朝鮮が米国との対話を引き延ばせば、大気圏への再突入に耐え得る弾頭を含む核兵器備蓄を拡大・改良する時間稼ぎが可能になると指摘する。

 3月7日、米当局者と専門家らは、北朝鮮が米国との対話を引き延ばせば、大気圏への再突入に耐え得る弾頭を含む核兵器備蓄を拡大・改良する時間稼ぎが可能になると指摘する。写真中央は、北朝鮮の指導者、金正恩氏。KCNAが2月提供(2018年 ロイター)

韓国側に提案したように、北朝鮮が対話中は核実験やミサイル発射実験を凍結したとしても、外交努力が行われているさなかにも技術的な作業を進めることは可能だと彼らはみている。

核兵器を運搬可能な再突入体を完成させたり、ロケットフレームやエンジンや移動式発射装置の製造を生産し、爆弾の製造に使用されるプルトニウムや高濃縮ウランの生産を加速したりすることなどが考えられる。

「凍結あるいは停止する合意に至らない限り、北朝鮮はこうした活動をすべて継続するとみられる。それは、短期間では実現しないだろう」と、米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)の創設者で、核不拡散が専門のデービッド・オルブライト氏は話す。

トランプ米大統領は北朝鮮による対話の申し入れは「誠実」のように見えると語ったが、ワシントンでは、北朝鮮の指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長が、米本土に到達可能な核弾頭ミサイルなど兵器開発を進めるための時間稼ぎとして、さらには厳格な国際制裁の緩和を求めるため、対話を利用している可能性を懸念する声が聞かれる。

北朝鮮はわずか数カ月でそのような攻撃が実行可能となると、米情報当局者は指摘する。一方、実験はまだ行われていないものの、同国がそのような基本的な能力をすでに有している可能性があるとする専門家もいる。

トランプ政権は交渉のテーブルに着くかどうか決める上で、約束を破ってきた北朝鮮の歴史も踏まえ、そうしたリスクをよく検討すべきだと、複数の米当局者が匿名で語った。

対話を支持する米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)米韓研究所のジョエル・ウィット上級研究員は、北朝鮮が兵器開発の完全凍結に同意しなくても、それは障害とはならないと指摘する。

「北朝鮮がミサイル・核プログラムを続けても、核実験とミサイル実験を凍結するなら、幸先の良い第一歩だと言える。1つも合意に至らないよりはましだ」とウィット氏は語った。

北朝鮮が対話を引き延ばそうとしているだけなのが明らかになった場合、トランプ大統領は直ちに外交努力を打ち切る用意があると、米当局者は言う。

ある米政府当局者は、トランプ大統領がいつまで交渉の窓を開けているかは明らかではないが、「北朝鮮がわれわれをたぶらかしているかどうか」は数カ月以内にはっきりするだろうと語った。

<課題は「再突入体」>

どちらにせよ、米当局者と専門家は、核実験とミサイル発射実験は信頼できる兵器開発には欠かせないため、北朝鮮に実験を停止させることには意義があるという意見で一致している。

北朝鮮は過去2年間、さまざまなタイプのミサイル実験を何度も繰り返している。その中には、昨年11月29日に実施された、過去最大級となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験も含まれている。ICBMは理論的に米国への到達が可能だ。これ以降、実験は行われていない。

北朝鮮の首都平壌で金正恩氏と会談した韓国代表団は、米国との対話が続く間は核・ミサイル実験を行わないと同氏が申し出たことを明らかにした。

また同氏は、自国の安全が保障されるのであれば、かつては交渉の余地なしとしていた非核化に前向きな姿勢を示したという。

米韓当局者は、北朝鮮が最終的に、米軍の韓国からの完全撤退といった不可能な要求を対話で突きつけてくることを懸念している。外交が失敗に終われば、北朝鮮は以前よりもさらに強力な脅威となる。

北朝鮮にとって最大の試練は恐らく、大気圏に再突入する際に核弾頭が燃え尽きることを防ぐ頑強な突入体を製造する能力を示すことだと専門家は指摘する。

そうした開発の一部は地上でも可能だろうが、北朝鮮はこれまで実際に長距離の軌道でミサイルを飛ばしたことがないため、最終的には発射実験が必要となると専門家は言う。

また、ミサイルやエンジンといった部品を大量製造できる施設建設には時間を要すると、米当局者と専門家らはみている。これは、厳しい国際制裁という足かせがなくても困難なことだ。

北朝鮮が米国に対して確かな抑止力を獲得するには、戦争が起きた場合に、一度に複数のミサイルを発射して米国のミサイル防衛システムをかわす能力を有していることを示さなければならないだろう。

北朝鮮はまた、固定された発射台よりも探知されにくく、攻撃も受けにくい自走式のミサイル発射車両である輸送起立発射機(TEL)を増やすことも必要だ。

一方、交渉しても、北朝鮮が自国の兵器プログラムのために他国に支援や原材料を求めることをやめることはないだろう。

「北朝鮮が核・ミサイルを製造し、それを供給・維持するためには他国からの支援が相当必要だ」と前出のオルブライト氏は指摘。「何が起きようと、圧力を強化し続け、制裁と輸出制限を厳格化することは不可欠だ」と同氏は語った。

(Matt Spetalnick記者、David Brunnstrom記者、Phil Stewart記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

 3月7日、米当局者と専門家らは、北朝鮮が米国との対話を引き延ばせば、大気圏への再突入に耐え得る弾頭を含む核兵器備蓄を拡大・改良する時間稼ぎが可能になると指摘する。写真は、中距離弾道ミサイル「火星12」を視察する北朝鮮の指導者、金正恩氏。KCNAが昨年5月提供(2018年 ロイター)

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