[ヘルシンキ 18日 ロイター] - 「ノキア」の名前が携帯電話市場に戻ってくる──。フィンランドの通信機器大手ノキアNOKIA.HEの元幹部と、電子機器受託製造(EMS)大手である台湾の富士康(フォックスコン)2354.TWが支援する企業が、携帯電話に関するノキアブランドの使用権を買収した。
ノキアはかつて、世界最大の携帯電話メーカーだったが、スマートフォン(スマホ)の台頭で経営が揺らぎ、米アップルAAPL.Oや韓国サムスン電子005930.KSを前に、その存在感は薄れていった。2014年には携帯電話事業を米マイクロソフトMSFT.Oに売却し、今は電子通信機器に専念している。将来、ライセンス契約を結ぶことを視野に、携帯電話に関する特許は保持してきたが、マイクロソフトとの間に非競争契約があるため、これまで実際に行動をとることはできなかった。
ノキアは18日、フィンランドのHMDグローバルOyとノキアブランドのスマホやタブレット製造に関する10年のライセンス契約を結んだ。HMDは、ノキアの元幹部であるジャンフランソワ・バリル氏が経営するプライベートエクイティファンドのスマートコネクトLLPとその経営陣が保有する新会社だ。
製品はフォックスコンが製造し、ノキアは売り上げからロイヤルティーを受け取る。ロイヤルティーはブランドと知的財産権の双方に対するもので、額は明かされていない。
これに合わせて、マイクロソフトは18日、初心者向け電話の事業を、HMDとフォックスコン傘下のFIHモバイルに3億5000万ドルで売却すると発表した。
ノキアの携帯電話の世界シェアは08年に約40%でピークをつけた。ノキアは同社のブランドは依然として、特に発展途上国で広く認識されているとしている。ノキア・テクノロジーズ部門の最高経営責任者(CEO)、ラムジ・ハイダムス氏は「われわれのブランドが最も強いと認識している地域はアジアと南米、欧州の一部だ。中国は明らかにターゲットの一つとなるだろう」と述べた。
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