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焦点:野村が新経営目標、海外黒字化や1株利益の引上げなど柱
2014年7月31日 / 05:22 / 3年後

焦点:野村が新経営目標、海外黒字化や1株利益の引上げなど柱

[東京 31日 ロイター] - 野村ホールディングス(8604.T)は、8月1日に国内外で収益拡大をめざす新たな経営戦略を発表する。海外ホールセール業務の安定的な黒字化、顧客資産の純増、全社的な収益底上げのほか、中長期的な1株利益(EPS)引き上げなどが目標として盛り込まれる見通し。

 7月31日、野村ホールディングスは、国内外で収益拡大をめざす新たな経営戦略を8月1日に発表する。写真は2011年2月、都内にある同社リテール店舗の看板に映る人々(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

中期経営目標の一部を前倒しで達成した永井浩二グループCEO(最高経営責任者)は、脱デフレをうかがう日本経済の環境変化を追い風に収益基盤の強化を目指す。

2年前の就任時に永井CEOが掲げた国内リテールの収益目標やEPS50円の目標は、2014年3月期までに前倒しで達成。顧客資産残高も95兆円を超えた。しかし、海外業務はいまだに黒字化傾向が安定していない。国内についても、日銀による異次元緩和やアベノミクスによる景気拡大が続く中で、営業部門(リテール)での個人資産の取り込みをどう強化するかが課題だ。

<費用負担の重い海外>

海外業務について、野村は500億円の税引き前利益の目標を掲げ、一定の成果を上げている。欧州系の金融機関が事業規模を縮小するなかで、米国のフィクストインカムのシェアを昨年の1.9%から2.7%に拡大。

この水準でもウォールストリートではシェアのトップ10入りを果たし、米州では黒字が定着してきた。米格付け会社ムーディーズは野村の格付けを引き上げ方向で見直すことを発表しており、トレーディング収益の拡充も視野に入ってきた。

しかし、直近の14年4─6月期決算で、海外は171億円の税引き前赤字となった。一時的に計上した人件費関連の費用を除外すれば、実質黒字とはいえ、昨年の好業績を背景に膨らんだ海外を中心とする多額な人件費などが負担になっていることを示した格好だ。

ドイツ証券のアナリスト、村木正雄氏は「(海外業務での目標)達成は容易ではない。500億円を下方修正するのか、または達成時期を16年3月期以降に先送りするだろうか」と、8月1日の発表に注目する。また、バークレイズ証券のアナリスト大野東氏は、「相対的なシェアが上がっても、海外の黒字化はに至っていない。収益の絶対的なレベルをフラットから引き上げることが野村の課題」と述べる。

<1%のシフトで16兆円の市場>

一方、国内市場はデフレ脱却が鮮明になっており、個人などの投資マインドも改善、同社のリテール収益をさらに拡大する環境が整ってきた。

「目の前に16兆円のマーケットが広がる」と、ある野村証券の幹部は言う。日本の個人金融資産(約1600兆円)に占める有価証券の割合はわずか14%。このうち1%のマネーが預金から投信に流入するだけで、巨大な市場が目の前に広がるという読みだ。

永井CEOは就任後、国内リテールの強化策として、投資信託のいわゆる「月一販売」を撤廃し、コンサルティング営業の本格的な強化に舵(かじ)を切った。毎月出てくる新しい投資信託商品を機械的、画一的に販売する手法を全社的に停止。営業担当者が顧客のニーズに合った資産形成プランを考え、提案するコンサルティング機能を徹底した。

営業現場は「考えなければ売れなくなった」(元支店長)という状況になり、一時は投信の販売は鈍化したが、4─6月期決算でリテール部門の税引き前利益は前期比36%増の316億円に回復。顧客資産残高は95.3兆円と、過去2番目の高水準になった。1日に行う経営戦略の説明では、この手法が着実に成果を上げている点があらためて強調されるとみる向きが多い。

ドイツ証券の村木氏は、リテール部門で、ラップ口座や投信、保険を使って、資産純増額(ネットインフロー)をどの程度引き上げることができるかが注目と強調。そのうえで「利益や資産目標よりも、資産純増額の目標を是非とも示してもらいたい」と言う。

年間100万円まで非課税で投資できる少額投資非課税制度(NISA)は国内の個人顧客増加を後押しすると期待されるうえ、野村はすでに135万件のNISA口座を獲得し、他社を大きく引き離している。

ただ、道のりは平たんではない。野村のNISA口座の稼働率はまだ25%にとどまる。日本全体が高齢化するなか、野村の顧客も高齢化。次世代の顧客取り込みが急務だ。

野村はこれまでに、ジョインベスト証券というオンライン専業証券を立ち上げたものの、失敗に終わった苦い経験もある。足元で進める「ファミリー化」など、世代を超えた顧客の取り込みが功を奏し、野村がいかに将来の顧客にビジネスを広げられるか、新しい営業戦略も問われている。

江本恵美、安藤律子 編集:北松克朗

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