April 19, 2019 / 8:31 AM / 6 months ago

インタビュー:投資銀行モデルは崩壊、顧客基盤ベースに独自路線=永井・野村CEO

[東京 19日 ロイター] - 野村ホールディングス(8604.T)の永井浩二グループCEO(最高経営責任者)はロイターとのインタビューで、バルジブラケット(巨大投資銀行)が持っていた伝統的なビジネスモデルは崩壊し、各投資銀行が独自のモデルを模索しているとの認識を示した。そのうえで野村は、強固な国内の顧客基盤をベースに投資銀行業務を発展させるのが課題との考えを示した。

 4月19日、野村ホールディングスの永井浩二グループCEO(最高経営責任者)はロイターとのインタビューで、バルジブラケット(巨大投資銀行)が持っていた伝統的なビジネスモデルは崩壊し、各投資銀行が独自のモデルを模索しているとの認識を示した。写真は都内で2017年12月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

野村が海外で取り組む構造改革策について「付加価値がない業務は、裏側のプラットフォームを含めて全部切る。ダイエットではなく、外科手術だ」と話し、過去に取り組んだ改革策から一段と踏み込んだ内容だと強調した。

また、国内のリテール部門改革で打ち出したデジタル戦略については、実務を担う人材を社外も含めて公募することで「新規ビジネスのつもりで取り組む」と語った。

インタビューの詳細は次の通り。

――海外の市場部門の大幅縮小を打ち出した。これまでの構造改革との違いは。

「今まで2度、構造改革をしているが、いずれもそれぞれのビジネスを競争力や付加価値の観点からジャッジして、閉じたり縮小したりした。しかし、ビジネスを支えているコーポレート部門や、ミドル、バック部門は落とさなかった。というのも、リーマン・ショック以降続いてる非伝統的金融政策が、いずれは正常化し、市場環境も元の状態に戻るであろうと考えていたからだ」

「ところが、半年ぐらい前から、もはや5―6年は正常化に至らないだろうとの判断に傾いた。とすれば、もうプラットフォームを残す意味がない。よってミドルやバックも落とすという決断をした」

「勝っているというと言い過ぎだが、まだ戦えている業務は残すものの、付加価値がない業務は裏側のプラットフォームを含めて全部切る。今回の構造改革はダイエットではく、外科手術だと社内でも言っている」

――市場部門のセカンダリー業務の縮小は、企業に資本や買収戦略などを助言する投資銀行業務、プライマリー業務に悪影響を及ぼさないか。

「海外のセカンダリー業務は、欧州の規模が少し大きかったので、ここはざっくり半分に落とす。プライマリーは、もともとそんなに取れてないので、ほとんど影響は出ないだろう。アドバイザリー業務などを担う投資銀行部門は、リーマン買収からようやく10年たって顧客基盤に合った適正な規模になっている。日本企業とはもともと深い関係性を築いている。今後はリーマンから継承したほぼ唯一の宝物である顧客をうまくつないでいくことが重要だ」

――かねてから投資銀行のビジネスモデルは崩壊したと指摘してきた。

「最近のバルジブラケットの決算を見ると、トップクラスの投資銀行でも何で稼いでいるかといえば、商業銀行業務であったり、あるいは、米国の純粋な投資銀行のこれから目指す業務が、個人向け小口消費者金融だったりする。投資銀行ビジネスはかなり縮小、淘汰せざるを得なくなってきている。以前は『バルジ』という言葉でひとくくりにしていたが、それが崩壊した今、もはやそれぞれが自分のビジネスモデルを探しにいかなくてはならない」

「われわれは、もともとブローカー(証券仲介業)をベースに発展した投資銀行なので、ポジションとして非常にユニークで、どこかが真似することはない。そこで培った国内の強固な顧客基盤をベースにして、それをどのように発展させていくかが課題になる」

――純粋な投資銀行モデルが崩壊する中で、商業銀行と組む考えはないか。

「確かに、メガバンクグループには海外の投資銀行業務を外資に任せ、商業銀行がポーンと数兆円の融資を出すケースもあり、うらやましく思うときもある。そんなに大きなバランスシートを使って融資できるのは、日本の3メガバンクだけだ。銀行系列の証券会社は、営業努力なしである程度、案件は取れるだろう。しかし、そこに入ろうとは思わない。われわれは、確かに巨大な融資のプラットホームやバランスシートは持ってない。しかし、努力次第でどこのグループ、系列に属する企業ともすべて取引ができる。これが唯一の野村としての強みだ」

「案件が取れた企業から、後からメインバンク系列の証券会社も入れてやってくれという話もある。それで何度涙を飲んだことか。しかし、どんなにガチガチの財閥系列の企業だろうが、われわれの提案が優れていれば選んでもらえる。従って、どこかの資本系列に入って独立性をなくしてしまう、要するにギブアップすることは基本的にない。それを上回る大きなメリットがあれば考えるが、そのメリットは考えつかない」

――国内のリテール部門で、改めてデジタルにかじを切る姿勢を鮮明にした。

「これまでは富裕層も、これから資産を作っていく資産形成層も、対面ビジネスで取り組んでいた。しかし、両方を対面でやるのは無理だ。今までもネット&コールなどの仕組みは作っていたが、評価されるものができなかった。いろいろ考えようとしてきたが、富裕層ビジネスで成功した我々に、非対面のマス層の取り組みは無理だと分かった。自分たちがチャンピオンだと思っている人たちに、チャレンジャーの仕事は難しい」

「新しい社内カンパニーは、役員だけ決めたがメンバーは内外からの公募だ。それこそ、ほとんどのメンバーが社外のネット証券の人達でもいいのではないか。我々のオンラインサービスの契約は三百数十万口座あり、預かり資産も30兆円以上ある。そういう意味ではプラットフォームはあるのだが、新規ビジネスのつもりで取り組む」

*このインタビューは15日に行いました。

*本文2段落目の脱字を補い再送します。

布施太郎、梅川崇 編集:田巻一彦

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