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コラム

コラム:野村の業績回復、取り残されるのは株主か

[香港 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 野村ホールディングスは動きの鈍さを指摘されてきたが、むしろ同社株を低く評価したままの株主側が「のろま」という評判を受け継ぐ番に回るかもしれない。

 2月3日、野村ホールディングスは動きの鈍さを指摘されてきたが、むしろ同社株を低く評価したままの株主側が「のろま」という評判を受け継ぐ番に回るかもしれない。2016年11月、都内の大手町本社で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

同社が3日発表した2020年10―12月期の連結決算(米国会計基準)は、税前利益が約13年ぶりの高水準を記録した。米国のライバル勢同様、好調なトレーディング部門からの追い風が吹いていただけでなく、全ての部門が増益に貢献し、コストも下がった。それでも株主は、まだ納得していない。奥田健太郎・グループ最高経営責任者(CEO)が取り組むべき次の課題は、株主への対応だ。

野村が直近でピークを迎えたのは、08年の世界金融危機の直前。野村はリーマン・ブラザーズの破綻直後、同社の非米国資産を購入した。今回の決算は往時に並ぶ水準だ。増益のけん引役は、投資銀行部門や海外事業を含むホールセール部門。特に20年度第1―第3四半期の累計を見ると、同部門の税前利益は約2300億円と前年同期の3倍近くに急増している。

株価高騰を背景としたトレーディング、資本調達、企業の合併・買収(M&A)の活況が、野村の増益を後押ししたのは間違いない。同業の米ゴールドマン・サックスや米モルガン・スタンレーもしかりだ。ただ、野村は主要なリーグテーブルで順位を上げており、単に追い風を享受しているだけではなさそうだ。

さらに、かつての稼ぎ頭である国内営業部門も回復しており、第1―第3四半期累計の税前利益は、前年同期から倍増して約660億円となった。

約10カ月前に就任した奥田CEOは、経費面でも強い手腕を発揮している。第1―3・四半期累計の合計収益が25%以上伸びたのに対し、費用は4%の増加にとどまった。1400億ドルのコスト削減計画は、予定より1年早く達成に近づいている。

第3・四半期(10―12月)の自己資本利益率(ROE)は年率14%を超え、同期のモルガン・スタンレーに並ぶ。ところが、モルガンの株価が簿価を30%上回っているのに対し、野村は40%下回っているのが実情だ。

投資家が懐疑心を捨てられないのは無理もない。10年以上にわたって業績は大きく振幅し、リストラが繰り返され、リーマンの資産を購入した後は、国際戦略の是非が問われてきた。それに強気相場が一度訪れただけで、持続可能な投資銀行フランチャイズを築けるわけではない。

自社株買いは有効かもしれない。奥田氏と経営陣は、利益の50%を株主に還元するという通年目標を達成するため、自社株買いを検討している。株主はこれらの数字を見て、自身が野村の前進ぶりに少し取り残されているのではないかと省みているはずだ。

●背景となるニュース

*野村ホールディングスが3日発表した2020年10―12月期の連結決算は、税前利益が世界金融危機の直前以来の高水準を記録した。ホールセール部門の税前利益が約3倍に増えたのが主因。

*純利益は前年同期比72%増の984億円。1株当たり利益は31.2円で、リフィニティブのEikonがまとめたセルサイド・アナリスト予想中央値の20.8円を上回った。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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