December 15, 2019 / 12:47 AM / a month ago

コラム:野村のグリーンテック買収、勝算ありと考える理由

[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 野村ホールディングス(8604.T)が米国で、成功した投資銀行を築き上げようとしてめちゃくちゃぶりを繰り返してきた歴史は、ライバルのジョークの的になってきた。今や、野村は別の挑戦に打って出ようとしている。再生可能エネルギー分野のM&Aに強みを持つ米グリーンテック・キャピタル・アドバイザーズを買収する今回の計画には、まずまずの勝算があると考えるだけの理由がそろっている。

 12月11日、野村ホールディングスが米国で、成功した投資銀行を築き上げようとしてめちゃくちゃぶりを繰り返してきた歴史は、ライバルのジョークの的になってきた。今や、野村は別の挑戦に打って出ようとしている。写真は都内で2015年12月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

過去の試みにはほとんど伝説的と言ってよい損失をもたらしたものもある。中でも筆頭と言えるのが、1990年代末ごろにかけて野村が飛び込んだ米不動産関連事業だ。商用不動産ローン担保証券(CMBS)を作り上げたことで名をはせたイーサン・ペナー氏が創設に加わった野村のCMBS部門は、数年間は大きな利益を上げたものの、その後1998年にロシアのソブリン債で債務不履行が発生したあおりで経営が急激に悪化。新興市場に多額の投資を行っていたことも損失の拡大につながった。

その10年後には世界金融危機に乗じようと経営破綻した米リーマン・ブラザーズの欧州部門を手に入れ、米国で大量の人員を採用した。また2007年には電子証券取引仲介大手の米インスティネットも買収した。これらの部門は10年にわたり企業文化の違いによる軋轢や事業再構築が続き、投資銀行事業の収入とシェアは低下。野村は今年初め、残っていたこれらの事業の「のれん」に絡んで巨額の減損を計上した。

グリーンテックはこうしたリスクはもたらさないだろう。第1にグリーンテックは大規模案件ではない。日経アジアンレビューによれば1億ドル程度。グリーンテックの創業者でUBSの元投資銀行部門責任者だったジェフリー・マクダーモット氏や彼が引き連れてくる74人の同僚が、野村側の現在の従業員を怒らせることもないはずだ。グリーンテックがM&A事業で対象にするのは再生可能エネルギーや持続可能な技術などのプレーヤーで、大手行がほとんど見向きもしてこなかったが、急成長中のニッチで小規模な存在だ。

気候変動問題が深刻化する中、大企業も中小企業も気候変動によるリスクや事業機会の再評価を促されているため、この事業分野への関心は高まっていくはずだ。それだけにマクダーモット氏が、再生可能エネルギー分野のM&Aブームが始まるかもしれないこのタイミングでなぜ売却をしようとするのか、疑問も起きる。しかし、いずれにせよ野村は今回の案件で、ウォール街でより持続可能な存在に近づくことを望んでいるようだ。

●背景となるニュース

*野村ホールディングスは、再生可能エネルギー分野などのM&A(合併・買収)を得意とする米グリーンテック・キャピタル・アドバイザーズの買収に合意したと発表。条件は公表されていないが、日経アジアンレビューは先に買収金額を100億円(約1億ドル)の可能性があると報じた。[nL4N28L3ZV]

*グリーンテックはUBSの投資銀行部門を率いていたジェフリー・マクダーモット氏が09年に創業。ニューヨーク、サンフランシスコ、チューリヒに拠点を置き、75人の「金融のプロ」を抱えている。買収後の社名は「野村グリーンテック」となる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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