[ソウル 25日 ロイター] - 韓国軍合同参謀本部は25日、北朝鮮が弾道ミサイルを東岸沖に向けて発射したと発表した。平壌の順安地区から1時間足らずの間に3発が発射されたという。
発射された3発のうち、1発目は大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる。このミサイルは360キロ飛行し、最大高度は540キロだったという。
2発目のミサイルは空中で爆発したもよう。3発目のミサイルは短距離弾道ミサイル(SRBM)で、760キロ飛行し、最大高度60キロだったという。
韓国軍によると、これに対し、米国と韓国は地対地ミサイルの実験を含む合同軍事演習を行った。合同参謀本部は「ICBM発射を含む北朝鮮のいかなる挑発行為にも断固として対応するわれわれの決意、および挑発の発生源にサージカルストライク(ピンポイント攻撃)を行うわれわれの圧倒的な能力と態勢を強調する意図があった」と説明した。
米韓当局者は、バイデン米大統領が20日から韓国と日本を歴訪するに当たり、北朝鮮がICBMの発射実験や核実験を行う可能性があるとしていた。
今月就任した韓国の尹錫悦大統領は初の国家安全保障会議を招集。同会議は今回の発射について、特にバイデン氏が帰国する前に行われたとして、「重大な挑発行為」と強く非難した。
韓国大統領府によると、尹氏はバイデン氏と合意したように、米国の「拡大抑止」と統合防衛体制を強化するよう側近に命じた。
尹政権はまた、別の声明で「北朝鮮が挑発を続けることは、韓米の抑止力をさらに強化・促進し、自らをより深く孤立させることになるだけだ」と指摘した。
韓国の朴振外相とブリンケン米国務長官は電話会談で、拡大抑止強化と国連での新たな制裁決議に向け外交努力を進めることで合意。韓国側が明らかにした。
国務省報道官は「われわれは北朝鮮に対し、さらなる挑発行為を控え、持続的かつ実質的な対話に参加するよう求める」と述べた。
このほか、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、韓国大統領府国家安保室長の金聖翰氏と電話会談。発表によると、両者は地域を不安定にさせる北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を非難し、今後も緊密に連携していくことを約束した。
<バイデン氏の韓日歴訪直後>
バイデン氏は24日に東京で日米豪印のクアッド首脳会合に参加した後、同日夜に米国へ向け離日した。
ホワイトハウス当局者は、バイデン氏がミサイル発射について説明を受けたことを明らかにし、引き続き最新情報を受け取るとした。
日本の海上保安庁も防衛省の情報として、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。
岸信夫防衛相は25日、北朝鮮が午前5時59分ごろと6時42分ごろ、弾道ミサイルを西岸付近から東方向へ1発ずつ発射したと発表した。いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定してるとした。
1発目は最高高度約550キロで約300キロ飛行し、2発目は最高高度約50キロで約750キロを変則軌道で飛行した。2発以外にも発射した可能性があり、分析中という。
米国のインド太平洋軍は北朝鮮による「複数」のミサイル発射を認識しているとした上で、差し迫った脅威はないとした。
バイデン大統領は21日、尹大統領とソウルで初の首脳会談を行い、軍事演習拡大のほか必要なら新たな兵器配備を行うことで合意した。
また、北朝鮮への新型コロナウイルスワクチン提供や金正恩氏総書記と会う可能性も示した。
クアッド首脳会合の最中には、中国とロシアの爆撃機が日本周辺を共同で飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進していた。
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