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ブログ:米国で注目の脱北者「松葉づえと私の物語」

[ソウル 1日 ロイター] - トランプ米大統領が1月30日に行った一般教書演説にゲストとして招待された脱北者のチ・ソンホさん(35)は、中国との国境に近い会寧(フェリョン)市の出身だ。

2月1日、トランプ米大統領が行った一般教書演説にゲストとして招待された脱北者のチ・ソンホさん(35=写真中央)は、中国との国境に近い会寧(フェリョン)市の出身だ。ワシントンで1月30日撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

チさんは昨年、ロイターに対し、2006年に北朝鮮から脱出した際についていた松葉づえについて話していた。

それは、こんな物語だった。

「私は、北朝鮮で物乞いをして子ども時代を過ごした。列車から石炭を盗もうとして転落し、足と手を失った。

「松葉づえは手放すわけにはいかなかった。これがなければ、ここまで来られなかっただろう。北朝鮮では、国は助けてくれないので、松葉づえが必要な人は自前で作らないといけない。

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ソウルで2017年8月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-ji)
ソウルで2017年8月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-ji)

「そういわけで、私の松葉づえは工場で生産されたものではないので完璧ではないし、壊れやすい。

「松葉づえは何組か持っていたが、全部壊れてしまい、これが最後の一組だった。

「これは、25歳で韓国に脱出するまで10年間使った。

「動いている列車から石炭を盗もうとして転落すると、松葉づえは壊れてしまう。あるいは、警察官に殴られて、松葉づえも取り上げられて壊されてしまう。

「壊れたら、新しいものを作った。新しいものが出来たら、再び外に出られた。

「最初に韓国に到着した時、この松葉づえを捨ててしまおうかと考えた。韓国の情報機関は、私に義足を作ってくれた。

「友人たちは、松葉づえを捨てて、北朝鮮のことは考えないようにした方がいいと言った。北朝鮮の物は全て捨てて、韓国で新しい人生を送っていることを金正日(総書記)に見せてやれ、というのだ。松葉づえを目にすると、不安な気持ちになるかとも聞かれた。

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ソウルで2017年8月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-ji)
ソウルで2017年8月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-ji)

「しかし、捨てることなどできなかった。私のつえを作るために、友人が木材を買ってくれた。大工の技術のある知人が組み立てて、私の父が仕上げをしてくれたものだ。

「この松葉づえには、北朝鮮の友人や家族の愛が詰まっている。だから、捨てなかった。

「私の松葉づえは堅くて使う時に痛いので、韓国政府は新しい松葉づえを支給してくれた。

「でも、この松葉づえはとってある。思い出を忘れないようにするために」

(写真:Jonathan Ernst、Kim Hong-Ji 文責:Seung-Woo Yeom、Heekyong Yang、James Pearson)

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