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アングル:北朝鮮の「ミサイル技術」、金正恩政権で急速に進化
2017年7月4日 / 05:23 / 5ヶ月後

アングル:北朝鮮の「ミサイル技術」、金正恩政権で急速に進化

[4日 ロイター] - 北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長は、異例の早さでミサイル開発を急いでいる。その最終目標は、米国本土に到達可能なミサイルの完成である。

 7月4日、北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長は、異例の早さでミサイル開発を急いでいる。その最終目標は、米国本土に到達可能なミサイルの完成である。写真は朝鮮中央通信が5月30日に配信した、弾道ミサイル発射実験の様子。撮影日不明(2017年 ロイター)

<開発中のミサイル>

「火星12号」「ムスダン」「北極星」はいずれも金正恩政権下で開発された新世代のミサイルであり、今年4月の軍事パレードにも登場した。これらのミサイルは、いずれも発射実験に成功しており、北朝鮮の技術力の限界を押し上げつつある。

●過去の発射実績

上記ミサイルはいずれも2011年末に、金正恩氏が権力の座について以降、登場した新型である。下の図表からもわかるように、発射実験は技術的な壁に直面していた。だが過去2カ月に発射された3種類のミサイルは、相次いで実験に成功している。

●大陸間弾道ミサイル(ICBM)
今年4月の軍事パレードではICBMとみられる2種類の兵器も登場した。写真は今年4月以前のパレードのもの。北朝鮮国営テレビは4日、同国がICBMの実験に成功し、世界中どこでも到達できるミサイル技術を獲得したと発表。同日発射した「火星14」型ミサイルが39分間の飛行後、高度2800キロに達し、正確に目標に到達したとしている。

<推進力の向上>

開発中ミサイルの一部は、改良されたエンジン技術を採用している。具体的には小型ロケットエンジンの追加や、2台のエンジン統合、もしくは新たな推進装置の実験などの手法が取られている。

<燃料も改良>

上述したエンジンは液体燃料システムを採用している。液体燃料システムは内部に液体燃料を注入し、酸化剤を燃焼室に送り込んで燃料を燃やす。開発中ミサイルの一部では、高性能の液体燃料システムが採用されていると専門家はみている。これは、従来型で採用されているケロシンと硝酸よりも燃焼効率が良い。

●液体燃料システム

●固形燃料

一方、北極星1号と2号では固形燃料技術が採用された。これは同国のミサイル開発における、大きな前進だ。固形燃料は輸送の際に液体燃料よりも安定しているため、短時間でのミサイル発射が可能となる。

●北極星1号

機動性に優れた固形燃料システムを採用した北極星1号は、潜水艦から「コールドローンチ方式」で発射することが可能だ。コールドローンチとは、圧縮した気体によりミサイルを水上に放った後、ロケットの主力エンジンを点火させて上空へと打ち上げる方法だ。射程距離は1200キロと比較的短距離ではあるが、機動性に長けた潜水艦から発射することで、敵に発射場所を悟られずに攻撃することが可能。このミサイルは北朝鮮が持つ唯一の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である。

●北極星2号

液体燃料の代わりに、より安定的で機動性に優れた固形燃料を採用することで、より短時間でミサイル発射が可能になったとみられる。さらに北極星2号の発射台は不整地の走行が可能なため、ミサイルを地下やトンネルへ隠すことも比較的容易だ。SLBMの北極星1号同様、コールドローンチ方式を採用している。射程距離は2000キロと推定され、SLBMよりも少し距離が伸びた。

<金正恩氏のミサイル「ドリームチーム」>

ミサイル発射が成功すると、金正恩氏はいつも同じ3人の男性と笑みを交わし、抱き合い、成功を祝うたばこの一服を共にしている。北朝鮮国営メディアに正恩氏とともに現れるこの3人は、北朝鮮のミサイル開発におけるキーマンであり、西側の安全保障当局や情報当局が高い関心を寄せている人物だ。

北朝鮮メディアの写真や映像から、この3人が正恩氏のお気に入りであることがうかがえる。他の高官たちは正恩氏に深々と頭を下げたり、言葉を交わすときも口を手で押さえるなどしているが、彼らの行動はそれとは一線を画している。

国連が制裁の対象とした北朝鮮の兵器開発は、2000年代初頭から始まった。当時も調達分野、科学分野、軍事分野の専門家3人が、指導層に近い立場で主導していた。そうした3人のうち、調達担当の全秉浩氏はすでに死亡。残る2人、科学者のソ・サングク氏と、軍の調整役だった呉克烈氏は高齢のため、第一線から退いている。

金正恩氏によって選ばれた彼らの後継者たちは、北朝鮮のミサイル技術を21世紀に向けて進化発展させるべく心血を注いでいる。

注釈:ミサイル発射実験は2017年5月31日時点のものまでを対象としている。実験のデータは6月現在のもの。「超精密誘導型」スカッドは、核脅威イニシアティブ(NTI)の最新レポートでは「スカッドC MaRV」と名付けられた。 

北朝鮮政府は自国のミサイル開発ついて一切のデータを公表していない。上述した情報はすべて独立したアナリストや、ミサイル技術の専門家から得たものである。

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