[ソウル/ワシントン 29日 ロイター] - 北朝鮮・朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長がニューヨークを訪問し、ポンペオ米国務長官と会談することが明らかになった。いったんは中止が発表された米朝首脳会談だが、実現に向け大詰めの調整が行われているもようだ。
トランプ米大統領は29日、ツイッターへの投稿で「北朝鮮との首脳会談に向け素晴らしいチームを結成した」とし、「首脳会談などを巡る協議が現在行われており、金英哲氏がニューヨークに向かっている」と述べた。
ホワイトハウスも金英哲氏とポンペオ長官が会談を行うことを明らかにし、「米国は引き続きトランプ大統領と金氏によるシンガポールでの会談の用意を積極的に進めている」とした。
韓国の聯合ニュースは同日、金英哲氏が北京で中国当局者と会談した後、30日に米国へ出発すると報道した。
史上初の米朝首脳会談は当初、6月12日に予定されていた。北朝鮮の非核化が議題だった。その後トランプ氏は24日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に宛てた書簡で、首脳会談を中止すると通告。翌日は思い直したと発言し、両国の当局者が会談に向けて協議していると話した。
コンウェイ米大統領顧問はFOXニュースに対し、米朝首脳会談が予定されている6月12日に開催されない可能性はあるとしつつも、12日以降近日中に行われる可能性があるとの認識を示した。
ホワイトハウスはまた、米朝首脳会談に先立ち、トランプ大統領が6月7日に安倍晋三首相とホワイトハウスで会談すると発表した。
アナリストらは、米国が金英哲氏とのニューヨークでの協議を通じ、北朝鮮が非核化に向けて十分な手段を講じることに合意するかを見極めようとしていると指摘。判断次第で首脳会談を実施するかどうかを決めるとみられる。
金正恩氏との交渉経験がある韓国の元軍事当局者、文聖墨(ムン・ソンムク)氏は「首脳会談の最も重要な議題は非核化の手段だ」と述べる。「金英哲氏は6月12日の首脳会談を前に最終調整するために訪米するのだろう」との見方を示した。
こうした中、NHKによると、金正恩氏の秘書役、金昌善(キム・チャンソン)氏が28日、首脳会談が開催される予定のシンガポールへ北京経由で訪問。金昌善氏は事実上、金正恩氏の首席補佐官。日本テレビによると、米国との協議のためにシンガポールへ行くのかとの記者の質問に「遊びに行く」と答えた。同時に米国の「予行チーム」もシンガポールで目撃された。
また、米国務省によると27日には米朝当局者らが南北軍事境界線がある板門店で協議した。前駐韓米国大使で国務省の元北朝鮮担当特別代表ソン・キム氏が米代表団を率いたという。聯合ニュースは、ソン氏が30日にも北朝鮮の崔善姫外務次官と会談し、首脳会談の大まかな議題を定めるとした。
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