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焦点:北朝鮮「新戦略兵器」、速度向上したミサイルか多弾頭か

[ソウル 2日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は昨年12月末に開いた党中央委員会総会の演説で、世界は遠からず同国の「新型戦略兵器」を目にすると語り、核開発や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験について一方的に公約に縛られる理由はもはやなくなったと宣言した。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は昨年12月末に開いた党中央委員会総会の演説で、世界は遠からず同国の「新型戦略兵器」を目にすると語り、核開発や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験について一方的に公約に縛られる理由はもはやなくなったと宣言した。写真は超大型多連装ロケットの試験を視察する金氏。11月28日、朝鮮中央通信(KCNA)が公開。撮影日は不明。(2020年 KCNA)

この発言は、北朝鮮が米国との首脳外交に配慮して2年余り見送ってきた大規模な核関連実験を再開する姿勢を最大限に強調したものだ。そして今年中に長距離ミサイル発射などの実験を再び行えば、北朝鮮にとっては核開発の面で意義ある技術的な進歩と貴重な経験値が得られる可能性がある。

ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のジェフリー・ルイス研究員は、北朝鮮の核兵器は何年にもわたる開発作業の結果、次にどんな実験があるか予測が難しいほどの発展を成し遂げていると指摘した。

複数の米軍事当局者の話では、北朝鮮は長距離ミサイルの発射実験に動くというのが最もあり得るシナリオの1つだ。別の専門家は、衛星打ち上げや新型弾道ミサイル搭載潜水艦就役、最大級のミサイル向けの国産の新型移動発射台(TEL)配備なども考えられるとみている。

CNSのグレース・リュー研究員は「北朝鮮はいかなる実験を通じても、より速度があり射程距離が長く、信頼性も向上する兵器を開発できるだけでなく、こうした実験に携わる人々の経験が高まり、兵器の使用や配備に関する実践的なノウハウを身につけられる」と解説した。

<推進装置の改善>

北朝鮮は昨年12月上旬、西海衛星発射場で2つの重要な実験を行った。米国の核がもたらす脅威に対抗する「新たな戦略兵器」の開発が目的とされている。

国営メディアは実験の詳しい内容や戦略兵器の正体を明らかにしなかったが、米国と韓国の政府高官は、北朝鮮が恐らくはICBM用のロケットエンジンをテストしたのではないかとの見方を示した。

米国科学者連盟(FAS)のアンキット・パンダ上席研究員は、北朝鮮はより優れた液体燃料の開発か、過去にトラブルが起きたエンジンの改修に向け作業を行うかもしれないと述べた。別の専門家によると、液体燃料に比べて保存や輸送が簡単な固体燃料ロケットモーター(SRM)の進化版の開発を進めていてもおかしくないという。

SRMは、北朝鮮が取り組んでいる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実践配備の上でも重要な意味を持つ。

パンダ氏は、ICBM規模までSRMを進化させることについてはさまざまな課題があるとはいえ、北朝鮮はこの分野でも技術的な困難を突破したと証明するとみている。

<RVと弾頭開発>

ICBMの弾頭部は、大気圏の摩擦熱から守るための再突入体(RV)に搭載する必要がある。

北朝鮮が最大のICBM「火星15」の発射実験を2017年11月に行った後、国営メディアは弾頭部を含むRVの安全性が確認されたと伝えた。

その後米軍事当局者は、北朝鮮はまだ大気圏の摩擦熱に耐えられるRVを完成させたと明確に証明していないとの見解を示している。

パンダ氏によると、この実験で北朝鮮の科学者はRVの性能に関して役立つデータを収集したかもしれないとはいえ、実戦と異なる「ロフテッド軌道」で遂行されたため、一部データの有効性は制限される恐れがあるという。

北朝鮮は、後ろ盾となっている中国やロシアを怒らせかねない核弾頭の大気圏突入実験は控えそうだが、それでも核弾頭用の材料生産は続けているもようで、専門家の見立てでは弾頭数を増やしながら、小型化を目指しつつある。

<ミサイル防衛網突破>

北朝鮮は昨年、「KN23」などの新型短距離ミサイルの実験にも踏み切った。専門家によると、ミサイル防衛網をよりうまくすり抜ける技術の開発が目的だ。

さらにパンダ氏は、今年は火星15など長距離ミサイルの多弾頭化にも乗り出す可能性があると予想する。1基のミサイルにより多くの核弾頭を搭載すれば、米国のミサイル防衛網を突破する能力が確実に高まり、それぞれの弾頭の信頼性に懸念があったとしても、弾頭数が増えれば起爆の確率もそれだけ上がるという。

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