[22日 ロイター] - <為替> ドルが対円で下落。世界成長減速見通しや米中貿易問題を巡る懸念からリスクオフ取引となり、安全資産とされる円の買いが膨らんだ。
国際通貨基金(IMF)が前日、2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正したことはドル売りを誘った。IMFは貿易摩擦が解決されなければ、鈍化しつつある世界経済を一段と揺るがしかねないとの認識を示した。
さらに、トランプ米政権が中国が提案した通商予備協議の週内開催を拒否したとのフィナンシャル・タイムズ(FT)の報道を受け、ドル売りに拍車がかかった。
朝方発表された昨年12月の米中古住宅販売戸数が約3年ぶりの水準に落ち込み、住宅価格の伸びが大幅に減速したこともドルへの圧迫材料となった。
終盤の取引で、ドル/円JPY=は0.41%安。
リスク回避の動きを反映し、豪ドルAUD=は米ドルに対し0.45%安の0.7126米ドル。
ユーロ/ドルEUR=は3週間ぶり低水準近辺で推移。1月の独ZEW景気期待指数は予想に反して小幅上昇したものの、現況指数は4年ぶりの低水準に悪化し、強弱入り混じる結果となった。
ポンド/ドルGBP=は0.6%高の1.2967ドル。9─11月の英雇用関連指標は堅調となり、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を控えつつも、労働市場は底堅く推移していることを示した。
<債券> 米国債利回りが低下。世界経済減速や米中の貿易摩擦を巡る懸念を背景に、国債市場に資金が流れた。過去最長の米政府機関閉鎖も安全資産としての国債買いの要因となった。
米中貿易摩擦の解消に向け障害の一つとなっているのが、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)が米国の対イラン制裁回避に関する不正行為に関わった疑いで逮捕された問題。米司法省は22日、孟氏の身柄引き渡しをカナダ側に要請する方針を明らかにした。また米政権が中国が提案した通商予備協議の週内開催を拒否したとのFTの報道も懸念材料に。
終盤の米10年債US10YT=RR利回りは2.737%と、前週終値から4.5ベーシスポイント(bp)低下。18日には3週間ぶり水準となる2.799%まで上昇していた。
21日の米金融市場はキング牧師生誕記念日で休場だった。
<株式> 5営業日ぶりに反落。世界経済を巡る悲観的な見通しや通商問題を巡る懸念、失望を誘う企業の業績見通しなどを背景に投資家心理が悪化した。
FTはこの日、トランプ米政権が中国の提案した通商予備協議の週内開催を拒否したと報じた。ただその後、米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長が報道を否定すると、主要株価指数は下げ幅を縮めた。それでも主要3指数の下落率はいずれも1月3日以来の大きさとなった。
中国を巡るネガティブな材料を嫌気して半導体株が売られ、フィラデルフィア半導体指数.SOXは2.9%下落。
インターネット大手5社の「FAANG」銘柄も1.6─4.1%下げた。
第4・四半期決算を発表した企業が先行きについて失望を誘う見通しを示したことを受け、業績の伸び鈍化への懸念が強まった。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)は1.4%安。2019年の売上高見通しがアナリスト予想を下回ったことを嫌気した。
電動工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK.N)も19年度の調整後利益見通しがアナリスト予想を下回り、15.5%急落した。
S&P総合500種の主要11セクターは公益.SPLRCUを除いて全てマイナスとなり、工業.SPLRCIやエネルギー.SPNY、通信サービス.SPLRCL、一般消費財.SPLRCDの下げが目立った。
油田サービスのハリバートン(HAL.N)は3.1%安。原油価格の下落や米国の需要減速が第4・四半期の業績を圧迫した。
IBM(IBM.N)は引け後の取引で上昇。第4・四半期決算が市場予想より小幅な減収にとどまった。
<金先物> 投資家のリスク選好意欲が後退する中、安全資産としての買いが優勢となり、小反発した。上伸は3営業日ぶり。中心限月2月物の清算値は前週末比0.80ドル(0.06%)高の1オンス=1283.40ドル。
IMFが2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正したことを受けて、世界的な景気減速懸念を背景に主要株価が軒並み下落する中、安全資産とされる金に資金が流入した。また、午前に発表された昨年12月の米中古住宅販売件数が季節調整済み年換算で前月比6.4%減と市場予想(1.2%減)を大きく下回ったことや、米政権が中国が提案した通商予備協議の週内開催を拒否したとの報道も金相場の支援材料に。
しかし、外国為替市場でドル高・ユーロ安基調が続いたことから、ドル建てで取引される金塊に割高感が生じ、上値は抑えられた。
<米原油先物> 世界的な景気減速に伴う需要の先細り懸念に圧迫され、反落。この日納会を迎えた米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値は、前週末比1.23ドル(2.29%)安の1バレル=52.57ドル。3月物は1.03ドル安の53.01ドルだった。
中国国家統計局が21日に発表した2018年の国内総生産(GDP)は実質ベースで前年比6.6%増となり、28年ぶりの低成長を記録。また、米国では連邦政府機関の一部閉鎖が1カ月を超えたものの、トランプ政権の公約であるメキシコ国境の壁建設予算を巡って野党・民主党との対立が続き、事態打開の糸口が見えない状況に陥っている。
こうした中、IMFは2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正。世界経済の先行きに対する不透明感が強まり、エネルギー需要にも影響が及ぶとの懸念が広がったことから、相場はこの日午前には一時51.80ドルの安値を付けた。
ただその後は、外国為替市場でドル買い・ユーロ売りに歯止めがかかり、ドル建てで取引される原油先物の割高感が若干後退。また、2月物の納会に伴う調整の買い戻しなども入り、下げ幅の一部を縮小した。
ドル/円 NY終値 109.36/109.39 JPY22H=
始値 109.44 JPY=
高値 109.47
安値 109.15
ユーロ/ドル NY終値 1.1358/1.1360 EUR22H=
始値 1.1358 EUR=
高値 1.1374
安値 1.1336
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*02.50 3.0625% US30YT=RR
前営業日終値 105*13.00 3.0960%
10年債(指標銘柄) 16時59分 103*09.00 2.7409% US10YT=RR
前営業日終値 102*29.50 2.7820%
5年債(指標銘柄) 17時03分 100*06.75 2.5790% US5YT=RR
前営業日終値 100*01.00 2.6180%
2年債(指標銘柄) 17時02分 99*26.63 2.5890% US2YT=RR
前営業日終値 99*25.25 2.6120%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 24404.48 -301.87 -1.22 .DJI
前営業日終値 24706.35
ナスダック総合 7020.36 -136.87 -1.91 .IXIC
前営業日終値 7157.23
S&P総合500種 2632.90 -37.81 -1.42 .SPX
前営業日終値 2670.71
COMEX金 2月限 1283.4 +0.8 GCv1<0#GC:>
前営業日終値 1282.6
COMEX銀 3月限 1532.5 ‐7.4 SIv1<0#SI:>
前営業日終値 1539.9
北海ブレント 3月限 61.50 ‐1.24 LCOc1<0#LCO:>
前営業日終値 62.74
米WTI先物 3月限 53.01 ‐1.03 CLc1<0#CL:>
前営業日終値 54.04
CRB商品指数 178.9900 ‐3.2237 .TRCCRB
前営業日終値 182.2137