[18日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが円やユーロに対し下落。一部報 道を受け、米中通商合意を巡る期待が後退した。 CNBCは18日、トランプ米大統領が今月初旬に対中関税撤回で合意していないと 発言したことが引き金になり、中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっ ていると報じた。 これに先立ち、新華社は17日、米中が貿易問題について16日に電話で「建設的な 協議」を行ったと伝えていた。 TDセキュリティーズのシニアFXストラテジスト、メーザン・イッサ氏は「市場は 報道に過剰反応している」とし、一喜一憂しているだけで「実質的なものは何もない」と 述べた。 CNBCの報道を受け、円は対ドルで109円近辺から急上昇。終盤は108 .60円。 ユーロも上昇。ただ、トランプ大統領とパウエル連邦準備理事会(FRB)議 長がこの日午前にホワイトハウスで会談したという発表を受けて上昇した取引序盤からは 伸び悩んだ。 トランプ大統領は会談後、ツイッターへの投稿で「非常に良好かつ友好的な会談だっ た」と評価。「金利やマイナス金利、低水準のインフレ、金融緩和、ドル高と製造業への 影響、中国や欧州連合(EU)との貿易などすべての問題について協議した」と述べた。 ユーロは取引終盤で1.1078ドル。序盤は一時1.1090ドルと11月7日以 来の高値を付けた。 ユーロは10月1日に付けた2年超ぶりの安値1.0877ドルから回復してきたが 、イッサ氏は「ユーロは景気循環に変動しやすい通貨であり、世界的な経済成長が良好な らユーロのパフォーマンスも好調になる傾向があるが、まだその段階ではない」とし、持 続的なユーロ上昇には欧州および世界経済が一段と堅調であることが必要との見方を示し た。 ポンドも上昇。12月12日の英総選挙で与党・保守党が過半数の支持を得るとの見 方を受けたほか、ジョンソン首相が17日、与党・保守党から出馬する候補は全員、首相 の欧州連合(EU)離脱案に支持を表明したと述べたこともポンドを支援した。[nL4N27Y 0IT] NY外為市場: <債券> 米中通商協議に対する懐疑的な見方が再び台頭したことで国債が買われ、 10年債と30年債の利回りが一時2週間ぶりの水準に低下した。 CNBCはこの日、関係筋の話として、中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的な ムードになっていると報じた。アナリストは、米中が通商合意に至らなけれ ば世界的な経済成長が損なわれると指摘。そうなれば米連邦準備理事会(FRB)は一段 の利下げを迫られるとの見方を示している。 ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米金利ストラテジスト、マイケル・チャン 氏は「関税措置の撤廃が問題となっているもようだ」とし、「米中通商問題が一段とエス カレートすれば、米国がリセッション(景気後退)に陥るリスクは高まる。FRBはこう したことを懸念している」と述べた。 一方、FTNフィナンシャル(テネシー州メンフィス)のシニア金利ストラテジスト 、ジム・ボーゲル氏は、通商問題を巡って市場は極めて忍耐強く対応しており、全般的に は米中がいつかは合意すると楽観的にみていると指摘。「協議は棚上げされたと誰かが宣 言するまで、米10年債利回りはおおむね1.78─1.88%のレンジ内で推移すると 予想される」と述べた。 この日はトランプ大統領とパウエル連邦準備理事会(FRB)議長がホワイトハウス で会談した。FRBは声明で、パウエル議長とトランプ氏は「経済、成長、雇用、インフ レ」について協議するために会談を行ったと説明。トランプ大統領は会談後 、ツイッターに「金利のほか、マイナス金利政策、低インフレ、緩和措置、ドル高、およ びドル高が製造業に及ぼす影響、中国や欧州連合(EU)などとの通商など、すべての問 題について協議した」と投稿した。 10年債利回りは午後の取引で一時1.795%と、2週間ぶりの水準 に低下。その後は1.810%となっている。前営業日終盤は1.734%だった。 30年債利回りも一時2週間ぶり低水準となる2.275%を付けたが 、その後は2.294%に戻した。前営業日終盤は2.311%だった。 2年債利回りは1.596%に低下。前営業日終盤は1.612%だった 。 米中通商協議が膠着する中、米国債の利回り曲線はこの日も平坦化。2年債と10年 債の利回り格差は4日連続で縮小し、21.4ベーシスポイント(bp) となった。 米金融・債券市場: <株式> 米国株式市場は主要株価3指数がわずかに上昇し、最高値を更新して取引 を終えた。米中通商合意を巡るまちまちのニュースを受け、様子見の展開となった。 米国株式市場: <金先物> 反発。米中貿易協議の進展をめぐる不透明感から投資家のリスク回避姿 勢が強まり、安全資産として金が買われた。中心限月12月物の清算値は前週末比3.4 0ドル(0.23%)高の1オンス=1471.90ドル。 米CNBCは18日、中国政府筋の話として、米中貿易協議「第1段階の合意」に署 名することに「中国側は悲観的になっている」と伝えた。中国は発動済みの追加関税の撤 回確約を署名の条件に位置付けているが、トランプ米大統領が消極的になっていることな どが主因だという。 また、トランプ米大統領が18日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長とホ ワイトハウスで会談し、マイナス金利や米中貿易問題などを議論したとツイッターで明ら かにしたことも、一部で金の買い材料となったもようだ。 NY貴金属: <米原油先物> 米中貿易合意に懐疑的な見方が浮上する中、反落した。米国産標準 油種WTIの中心限月12月物の清算値は、前週末比0.67ドル(1.16%)安の1 バレル=57.05ドル。1月物は0.69ドル安の57.14ドルだった。 米CNBCは18日朝、中国政府筋の話として、「第1段階」合意署名に「中国側が 悲観的になっている」と伝えた。同国が署名の条件とする追加関税の撤回にトランプ米大 統領が後ろ向きな姿勢を示していることなどが主因だという。これに先立ち、劉鶴副首相 とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン米財務長官は週末に電話 会談を行ったものの、具体的な進展はなかったもようで、市場では年内にも合意署名が実 現するとの期待が後退。原油相場は早朝からマイナス圏に沈み、その後も売り優勢の流れ が継続した。 米中貿易摩擦や世界景気の減速に伴うエネルギー需要の鈍化見通しが相次ぐ中、石油 輸出国機構(OPEC)が12月上旬にウィーンで開く総会の行方にも注目が集まった。 市場では、OPEC加盟・非加盟の主要産油国で構成される「OPECプラス」が来年3 月で期限を迎える現行の協調減産体制の維持を決めるとの期待が広がっている。 NYMEXエネルギー: ドル/円 NY午後4時 108.63/108.66 始値 109.01 高値 109.06 安値 108.52 ユーロ/ドル NY午後4時 1.1074/1.1075 始値 1.1059 高値 1.1090 安値 1.1055 米東部時間 30年債(指標銘柄) 16時39分 101*22.00 2.2968% 前営業日終値 101*12.00 2.3110% 10年債(指標銘柄) 16時37分 99*13.00 1.8152% 前営業日終値 99*07.50 1.8340% 5年債(指標銘柄) 16時39分 99*11.50 1.6352% 前営業日終値 99*09.00 1.6520% 2年債(指標銘柄) 16時39分 99*26.00 1.5980% 前営業日終値 99*25.13 1.6120% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 28036.22 +31.33 +0.11 前営業日終値 28004.89 ナスダック総合 8549.94 +9.11 +0.11 前営業日終値 8540.83 S&P総合500種 3122.03 +1.57 +0.05 前営業日終値 3120.46 COMEX金 12月限 1471.9 +3.4 前営業日終値 1468.5 COMEX銀 12月限 1700.0 +5.2 前営業日終値 1694.8 北海ブレント 1月限 62.44 ‐0.86 前営業日終値 63.30 米WTI先物 12月限 57.05 ‐0.67 前営業日終値 57.72 CRB商品指数 179.1782 ‐1.8228 前営業日終値 181.0010 (