[21日 ロイター] - <為替> 米株上昇のほか、イタリア予算案を巡り楽観的な見方が出ていることでリ スク選好度が改善し、ドルが下落した。米株式市場は今週に入ってからハイテク株を中心 に売られていたが、この日は米アップルをはじめとする主要ハイテク銘柄に買い戻しが入 り、相場は上昇した。 この日発表の米経済指標では、10月の耐久財受注統計で民間設備投資の先行指標と されるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月から横ばいとなり、市 場予想の0.2%増を下回った。また、17日までの週の新規失業保険申請件数(季節調 整済み)は前週から3000件増加して22万4000件と、6月末以来約4カ月ぶりの 高水準となった。このほか、全米リアルター協会(NAR)が発表した10月の米中古住 宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比1.4%増の522万戸と7カ月ぶりに プラスに転じた。ただ住宅市場の弱含みは続いており、NARの主任エコノミスト、ロー レンス・ユン氏は、金利の上昇が需要を抑えているとして「連邦準備理事会(FRB)は 利上げを一時中止しても良いのではないか」との見方を示した。 主要6通貨に対するドル指数は午後の取引で0.2%低下の96.685とな っている。 ユーロ/ドルは0.2%高の1.1390ドル。欧州委員会はこの日、イタリ アの2019年予算案がユーロ圏の財政規律に違反しているとして是正措置を求める過剰 財政赤字是正手続き(EDP)を勧告。ただ、イタリアのコンテ首相がイタリア国債と独 連邦債との利回り格差に対する懸念を示し、改革実施を確約したことなどで、ユーロは上 昇した。ユーロは過去7営業日のうち6営業日で上昇。もっともアナリストは、イタリア に起因する政治リスクによりユーロの地合いは引き続き軟調だとしている。 安全資産とされる円は下落。ドル/円は0.3%高の113.08円となっ ている。 NY外為市場: <債券> 耐久財受注統計で資本財の受注が予想より軟調だったことで国債利回りが 低下した。米株が上げ幅を縮小したことも利回り低下の要因となった。シーポート・グロ ーバル・ホールディングス(ニューヨーク)のマネジングディレクター、トム・ディガロ マ氏は「耐久財(受注統計)は予想より軟調だった。前月分も下方修正された」と指摘し た。 米株市場は今週に入ってからハイテク株を中心に大きく売られていたが、この日は上 昇。午後に入って上げ幅を縮小したが、債券相場も株価につられて動く展開となった。 市場関係者は、FRBが来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性があるとのM NIの報道にも言及。前出のディガロマ氏はこの報道に触れ、「利上げが停止されれば、 金利に対する異例の圧力の一部は解消するため、市場は若干色めきたった」としている。 世界の経済成長が鈍化する中、FRBは米経済を阻害することなく一段の利上げは実施で きなくなるとの観測が高まっている。 10年債利回りはオーバーナイトの取引で3.088%に上昇していた が、この日の取引では3.065%に低下した。財務省が行った110億ドルの10年物 インフレ指数連動債(TIPS)入札は、最高落札利回りが1.109%と、2011年 1月以来の高水準となった。 米債券市場は22日は感謝祭のため休場、23日は短縮取引となる。 米金融・債券市場: <株式> S&Pとナスダックが反発。このところ売り込まれていたエネルギー株や ハイテク株に買いが入った。ただ、終盤にかけてアップルが下げに転じたことに押され、 この日の安値付近で取引を終えた。 米国株式市場: <金先物> 対ユーロでのドル軟化に伴う割安感から買い戻しが入り、反発した。中 心限月12月物の清算値は前日比6.80ドル(0.56%)高の1オンス=1228. 00ドルと、11月7日以来2週間ぶりの高値を付けた。米市場は22日、感謝祭に伴い 休場。金塊相場は翌23日再開されるが、短縮取引となる。 外為市場では、主要株価の持ち直しやイタリア財政問題を巡る進展の動きなどを 受 けて、ドルが対ユーロで軟化。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が広がる 中、金相場は午前中には一時1230.90ドルまで上昇した。その後は若干利食い売り が出たが、清算値確定まで堅調を維持した。 前日は世界的な株安を主因に債券やドルに資金が流れ込む中、金塊にも売りが台頭。 この日は下落の後を受けて、テクニカルな買い戻しも入ったもようだ。このほか、朝方に 発表された耐久財受注統計などの米経済指標が振るわず、FRBによる利上げペースに懐 疑的な見方が一部で浮上したことも、金利を生まない金塊には支援材料になったと指摘す る向きもあった。 NY貴金属: <米原油先物> 米石油製品の在庫減少を好感した買いや値頃感による買い戻しなど が入り、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値は前日比1.20ド ル(2.25%)高の1バレル=54.63ドル。2月物の清算値は1.23ドル高の5 4.80ドル。 米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した16日までの1週間の米原油在庫は 前週比490万バレル増と、増加幅は市場予想(ロイター拡大版調査)の290万バレル を上回り、9週連続の積み増しとなった。一方、ガソリン在庫は130万バレル減(予想 は20万バレル減)と、2017年12月以来の低水準となった。統計発表直後はいった ん売られたものの、その後直ちに石油製品の在庫減少に注目した買いなどが入った。また 、WTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が前週比11万600 0バレル減と、9週ぶりに減少したことも支援材料となった。 それに加え、この日は外為市場でドルがユーロに対して軟化し、ドル建てで取引さ れる原油に割安感が生じたほか、前日の急落を受けた安値拾いの買いも入りやすかった。 一方、市場は引き続き12月6日開催予定の石油輸出国機構(OPEC)総会の行方に 注目。OPEC加盟・非加盟国は日量100万─140万バレルの減産を検討していると の報も流れているが、サウジが原油の価格引き下げを求める米国の要求をのまざるを得ず 、大幅な減産には動けないのではないかとの観測なども浮上している。 NYMEXエネルギー: ドル/円 NY午後4時 113.05/113.08 始値 113.00 高値 113.11 安値 112.87 ユーロ/ドル NY午後4 1.1382/1.1383 時 始値 1.1401 高値 1.1424 安値 1.1380 米東部時間 30年債(指標銘柄) 16時47分 101*03.00 3.3171% 前営業日終値 101*10.50 3.3050% 10年債(指標銘柄) 16時15分 100*16.50 3.0646% 前営業日終値 100*21.00 3.0480% 5年債(指標銘柄) 16時46分 99*29.25 2.8935% 前営業日終値 100*00.75 2.8700% 2年債(指標銘柄) 16時14分 100*03.50 2.8160% 前営業日終値 100*04.75 2.7950% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 24464.69 -0.95 0.00 前営業日終値 24465.64 ナスダック総合 6972.25 +63.43 +0.92 前営業日終値 6908.82 S&P総合500種 2649.93 +8.04 +0.30 前営業日終値 2641.89 COMEX金 12月限 1228.0 +6.8 前営業日終値 1221.2 COMEX銀 12月限 1450.2 +23.3 前営業日終値 1426.9 北海ブレント 1月限 63.48 +0.95 前営業日終値 62.53 米WTI先物 1月限 54.63 +1.20 前営業日終値 53.43 CRB商品指数 185.0005 +1.2157 前営業日終値 183.7848 (