[16日 ロイター] - <為替> ドルは朝方は上昇していたものの、その後は通商を巡る緊張の高まりと米 利下げ観測で米消費者心理が冷え込んだことを受け、上げ幅を縮小しほぼ横ばいとなった 。ドイツの財政出動に対する期待からユーロが上昇したこともドルの圧迫要因となった。 この日は独シュピーゲル誌が、独連立政権が景気後退に陥った際に備え財政均衡ルー ルを撤廃し、新たな借り入れを行う用意を整えると報道。これを受けユーロ が対ドルで上向いた。 アクション・エコノミクスのアナリストは、報道を受け「ユーロ/ドルは午前中盤の 取引で1.1106ドルと、約2週間ぶりの低水準から切り返した」とし、「外為市場で は欧州中央銀行(ECB)が9月に一段の緩和策を発表するとの見方が織り込み済みとな っているが、このような報道はユーロ/ドル相場の動意となる」と述べた。 前日は、ECB理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁が、ECBが9月の 理事会で一連の景気刺激策を発表するとの見方を示したと米紙ウォール・ストリート・ジ ャーナル(WSJ)が報道。この影響がこの日も続き、ユーロは朝方の取引 で1.1067ドルと、2週間ぶり安値を付け、1日に付けた約2年ぶり安値の1.10 25ドルに迫っていた。 シュピーゲル誌の報道で上向いたものの、終盤の取引では0.14%安の1.109 1ドルとなっている。 この日発表の米経済指標では、ミシガン大学の8月の消費者信頼感指数(速報値)が 92.1と、今年1月以来の低水準となったほか、現況指数は107.4と、2016年 11月以来の低水準となった。トランプ政権が対中関税措置第4弾を9月1日付で発動さ せると発表したことに消費者が強く反応したとみられている。 主要6通貨に対するドル指数は0.05%高の98.197。9日に付けた3 週間ぶり低水準からは1.20%回復した。 NY外為市場: <債券> 国債利回りが上昇した。ドイツが景気後退に陥った際に備え財政均衡ルー ルを撤廃し、新たな借り入れを行う用意を整えると独シュピーゲル誌が報じたことが背景 。 今週は世界的な経済成長に対する懸念から国債利回りは大きく低下し、米債券市場で は14日に2年債利回りが10年債を上回る逆イールドが発生。米経済が向こう1─2年 以内に景気後退(リセッション)に入る可能性があることが示唆された。 経済指標が悪化する中、世界の中央銀行は相次いで一段とハト派的な金融政策を導入 するとみられている。ただ欧州で国債利回りの多くがマイナス圏で推移するなど、中銀が 景気浮揚に向け利用できる金融政策手段は枯渇しつつあり、政府が財政政策を発動させる 必要があるとの見方が出ている。 こうした中、独シュピーゲル誌が独連立政権は財政均衡ルールを撤廃し、新たな借り 入れを行う用意を整えると報道。米国債利回りの上昇につながった。 終盤の取引で米10年債利回りは1.547%。前日は1.475%と 、3年ぶりの低水準を付けていた。米30年債利回りは2.008%。前日 は1.916%と、過去最低水準を更新していた。 市場関係者は、米中貿易戦争の収束の兆しが見られないことから、経済成長を巡る懸 念は払拭されないと指摘。BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米国金利戦 略部門責任者、イアン・リンゲン氏は「貿易戦争に起因するマイナスの影響の規模と持続 期間の手掛かりをつかもうとする動きが出ている」と述べた。 この日発表の米ミシガン大学の8月の消費者信頼感指数(速報値)は92.1と、前 月から6.3ポイント低下し、今年1月以来の低水準となった。消費者はトランプ政権が 対中関税措置第4弾を9月1日付で発動させると発表したことに強く反応したとみられて いる。 こうした中、FRBは来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定す るとの見方が大勢。CMEフェドウオッチによると、金利先物は9月のFOMCで25ベ ーシスポイント(bp)の利下げが決定される確率が81%であることを織り込む水準に ある。利下げ幅が50bpとなる確率は19%。 将来的な利下げのスタンスを探ろうと、パウエルFRB議長が23日にワイオミング 州ジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムで行う講演に注目が集まっている。 米金融・債券市場: <株式> 大幅高で取引を終えた。債券上昇の一服に加え、ドイツの財政出動を巡る 報道が株式市場への資金回帰につながった。 主要3株価指数は上昇したが、週間では3週連続で下落した。米中貿易摩擦の激化や 地政学的な緊張感、債券市場を発端とする景気減速懸念の高まりなどが市場を揺さぶった 。 シュピーゲル誌は16日、ドイツの連立政権が、景気後退に陥った際に備え財政均衡 ルールを撤廃し、新たな借り入れを行う用意を整えると報道。ドイツ経済が景気後退を回 避するとの期待が広がり、世界的な景気減速懸念が後退した。 レノックス・ウエルス・アドバイザーズのデービッド・カーター最高投資責任者(C IO)はシュピーゲル誌の報道について「素晴らしいニュース」としながらも、「最終的 には不確実性を生み出し、市場を軟化させる可能性がある」と指摘。「世界の不確実性は 大きく増大しており、終わる兆しが見えない」と述べた。 報道を受け、米10年債利回りは3年ぶりの低水準から上昇。金利動向に敏感な銀行 株が2.6%高となった。 S&P11業種全てが上昇。工業、情報技術、金融が最 も上昇した。 個別銘柄では米エヌビディアが7.3%高。15日発表した第2・四半期( 7月28日まで)決算は売上高と利益が市場予想を上回った。ゲーム向けおよび自動車向 け半導体事業が予想よりも好調だった。 フィラデルフィア半導体指数は2.8%高。 米農業機械メーカーのディアは3.8%高。四半期利益は予想に届かなかった ものの、コスト管理を見直す方針が好感された。 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は9.7%高。15日の通常取引で株価 が急落する中、ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)が200万ドル近くに相当する 株式を取得したことが、米証券取引委員会(SEC)への提出文書で明らかになった。[n L4N25B4DS] 第2・四半期決算の発表は終盤に差し掛かっている。リフィニティブによると、S& P500構成銘柄のうち459社が決算を発表し、73%がコンセンサス予想を上回った 。S&P500構成銘柄の第2・四半期の増益率は前年比で2.9%と見込まれている。 ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.36対1の比率 で上回った。ナスダックは3.69対1で値上がり銘柄数が多かった。 米取引所の合算出来高は66億1000万株。直近20営業日の平均は75億400 0万株。 米国株式市場: <金先物> 米株高となる中で売りが先行し、反落した。12月物の清算値は前日比 7.60ドル(0.5%)安の1オンス=1523.60ドル。 欧米株高となる中で、投資家らのリスク回避姿勢が後退。安全資産として買われてき た金は売りが先行した。また、前日に清算値が6年4カ月ぶりの高値を付けたことで利益 確定の売りも出た。 ただ、世界的な景気先行き懸念がくすぶる中、米連邦準備制度理事会(FRB)によ る利下げペースが加速するとの観測もあり、金塊相場の下げを抑えた。 金塊現物相場は午後1時48分現在、7.100ドル安の1514.695ドル。 NY貴金属: <米原油先物> 世界的な景気減速に対する過度の懸念が後退する中、前日までの下 落を受けた買い戻しが入り、3日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月9月 物の清算値は前日比0.40ドル(0.73%)高の1バレル=54.87ドル。10月 物の清算値は0.39ドル高の54.81ドル。 原油相場は前日までの2日間で、5%近く下落。大幅安の後を受けて、早朝に安値拾 いや週末要因に伴う買いが活発化した。この日は米中貿易摩擦に関する新規の不安材料も 示されず、米株価が続伸したため、株式と並んでリスク資産とされる原油も買われやすか った。 ただ、買い一巡後は上げ幅を縮小。石油輸出国機構(OPEC)が午前発表した月報 で、2019年の石油需要の伸び幅予想が前月に比べ下方修正された上、20年の原油市 場はやや供給過多になるとの見通しを示したと伝わり、相場を下押し。前日比でマイナス 圏に沈む場面もあった。 石油サービス会社ベーカー・ヒューズが16日午後に公表した同日までの国内石油掘 削リグ稼働数は前週比6基増の770基と、7週ぶりにプラスに転じたことも、上値を抑 える要因となったもようだ。 NYMEXエネルギー: ドル/円 NY終値 106.36/106.39 始値 106.36 高値 106.42 安値 106.21 ユーロ/ドル NY終値 1.1089/1.1091 始値 1.1077 高値 1.1106 安値 1.1067 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 104*19.00 2.0443% 前営業日終値 106*03.00 1.9800% 10年債(指標銘柄) 17時05分 100*18.50 1.5623% 前営業日終値 100*29.00 1.5270% 5年債(指標銘柄) 17時05分 101*17.75 1.4234% 前営業日終値 101*18.00 1.4220% 2年債(指標銘柄) 17時05分 100*16.13 1.4865% 前営業日終値 100*15.63 1.4960% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 25886.01 +306.62 +1.20 前営業日終値 25579.39 ナスダック総合 7895.99 +129.38 +1.67 前営業日終値 7766.62 S&P総合500種 2888.68 +41.08 +1.44 前営業日終値 2847.60 COMEX金 12月限 1523.6 ‐7.6 前営業日終値 1531.2 COMEX銀 9月限 1712.2 ‐9.2 前営業日終値 1721.4 北海ブレント 10月限 58.64 +0.41 前営業日終値 58.23 米WTI先物 9月限 54.87 +0.40 前営業日終値 54.47 CRB商品指数 170.4052 +0.3705 前営業日終値 170.0347 (
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