[10日 ロイター] - <為替> ドルが安全通貨である円やスイスフランに対し急反発。世界の中銀が新型コロナウイルスに よる経済への影響軽減に向け追加刺激策を打ち出すとの期待がドルへの追い風となった。前日は原油価格や 株価の急落を受けリスク選好度が低下し、円やスイスフランは急上昇していた。 トランプ米大統領がこの日発表するとみられる景気下支えに向けた給与税引き下げなどの措置が注目さ れている。ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのアナリストは「トランプ政権が新型コロ ナの経済的打撃を緩和するために減税や他の刺激策を実施するとの市場全体の期待を反映し、ドルの地合い は幾分改善した」と指摘。 ただ一部アナリストの間からは、ドルが底を打ったとの判断は時期尚早との声も。 終盤の取引で、ドル指数は0.5%高の96.448。 ドル/円は2.7%高の105.10円。前日は101.18円まで下落していた。 円は対ユーロや豪ドルでも下落。日銀当局者が必要に応じ追加緩和の用意が あると表明したことを受けた動き。日銀は来週に金融政策決定会合を開催する。 ドル/スイスフランは1.5%高の0.9388フラン。 ユーロ/ドルは1.4%安の1.1292ドル。前日は1月初旬以来の高値となる1.14 95ドルを付けていた。ポンドは対ドルで1.6%安、カナダドルも対米ドルで0.5% 安。 原油急落を受けて前日売られていた資源国通貨も小幅上向き、ノルウェークローネは対ユ ーロで1.3%上昇した。 NY外為市場: <債券> 利回りが前日に付けた過去最低から上昇。終盤の取引で米10年債利回りは0. 775%。前日は過去最低の0.318%まで低下していた。 エバーコアISIの債券ストラテジストは「米国や欧州、日本では財政刺激策の検討が進んでおり、そ れが幾分自信になった」と指摘。 この日の米国株式市場ではダウ平均が1100ドル超反発するなど、主要株価指数がそれぞれ5%近く 上げた。またトランプ大統領はこの日午後、共和党議員らと財政刺激策を協議。それに先立ってホワイトハ ウスで行われた会合では、航空業界やクルーズ船業界を支援する考えを示した。前日に約25%急落した原 油価格も約8%上昇。 終盤の30年債利回りは1.272%。前日は過去最低の0.702%まで低下した。2 年債利回りは0.483%。前日は5年半ぶり水準の0.251%を付けた。 この日実施された380億ドル規模の3年債入札は軟調な結果になった。中国や日本の中央銀行やファ ンドマネジャーなどの需要が低調だった。 米財務省は11日に240億ドル規模の10年債入札、12日に160億ドル規模の30年債入札を行 う。 米金融・債券市場: <株式> 急反発し、前日に2000ドルを超える下げを記録したダウ平均株価はこの日116 7ドル高で取引を終えた。政府による景気刺激策への期待から安値拾いの買いが入った。前日に2008年 の金融危機以来となる大幅な下げを記録した主要3株価指数は、いずれも約5%上昇。 ただ、S&P総合500種とナスダック総合は2月19日に付けた終値ベースの過去最高値をなお約1 5%下回っている。高値からの下落率が20%を超えると弱気相場入りが確認される。 トランプ米大統領は9日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ホワイトハウスが景気を下支えする ため、給与税の引き下げなどの措置を議会共和党と10日に協議すると明らかにした。 前日に1991年の湾岸戦争以来となる大幅な下落率を記録した原油価格が反発したことを受け、エネ ルギー株も前日の記録的な下げから回復し、5.0%上昇。 S&P主要11セクター全てが上昇。情報技術と金利に敏感な金融が上げを主導した 。 米債利回りが過去最低水準から切り返したことで、前日に10年超ぶりの下げとなっていた金融株も6 .0%上昇した。 米宅配便大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は6.5%高。スタイフェルが投 資判断を「バイ」に引き上げた。アマゾンもコーウェンの目標株価引き上げを受け5.1%上昇し た。 シェブロンとマラソン・オイルはそれぞれ5.3%、21.2%上昇。原油価格の急落 を受け、大手米石油会社の間で設備投資を削減する動きが相次いだ。 米国株式市場: <金先物> 米国を中心に世界各国で景気刺激策が講じられるとの期待を背景に安全資産として金が売 られ、4営業日ぶりに反落した。中心限月4月物の清算値は前日比15.40ドル(0.92%)安の1オ ンス=1660.30ドル。 前日まで7年ぶりの高値水準にあったこともあり、高値警戒感から利益確定の売りも出やすかった。 NY貴金属: <米原油先物> トランプ政権による景気対策期待を背景に前日の急落の後を受けた買い戻しが膨らん で急反発。5営業日ぶりに上昇した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清 算値は前日比3.23 ドル(10.38%)高の1バレル=34.36ドル。5月物は3.26ドル高の34.73ドルだった。 新型コロナウイルスの感染拡大による石油需要減速への対応を巡り、石油輸出国機構 (OPEC)と ロシアによる協議が決裂。さらにその後、サウジアラビアとロシアがそれぞれ増産する意向が明らかになり 、前日の原油相場は24%超急落。約4年ぶりの安値を付けていた。この日はその反動から安値拾いの買い が優勢となった。 トランプ米大統領は9日、新型コロナ感染拡大で打撃を受けた業種を対象とする給与税 減税や所得補 償などの景気対策の実現を与党共和党に働き掛けると表明。さらに、ロシアのノバク・エネルギー相が石油 価格安定化のためのOPECとの協調行動を排除したわけではないと述べたと伝わったことも投資家心理の 改善につながった。 NYMEXエネルギー: ドル/円 NY終値 105.63/105.66 始値 104.93 高値 105.91 安値 103.24 ユーロ/ドル NY終 1.1279/1.1281 値 始値 1.1351 高値 1.1394 安値 1.1276 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 117*13.00 1.2965% 前営業日終値 127*21.50 0.9380% 10年債(指標銘柄) 17時05分 106*21.50 0.7998% 前営業日終値 109*22.50 0.4980% 5年債(指標銘柄) 17時05分 102*07.00 0.6703% 前営業日終値 103*14.00 0.4260% 2年債(指標銘柄) 17時05分 101*04.25 0.5461% 前営業日終値 101*16.88 0.3470% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 25018.16 +1,167.14 +4.89 前営業日終値 23851.02 ナスダック総合 8344.25 +393.58 +4.95 前営業日終値 7950.68 S&P総合500種 2882.23 +135.67 +4.94 前営業日終値 2746.56 COMEX金 4月限 1660.3 ‐15.4 前営業日終値 1675.7 COMEX銀 5月限 1695.5 ‐9.9 前営業日終値 1705.4 北海ブレント 5月限 37.22 +2.86 前営業日終値 34.36 米WTI先物 4月限 34.36 +3.23 前営業日終値 31.13 CRB商品指数 150.6593 +5.8488 前営業日終値 144.8105 (
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」